子どもの不登校 …図書館は子どもの「避難場所」になり得る? 子どもに本当に必要な環境とは何か

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子どもの不登校 …図書館は子どもの「避難場所」になり得る? 子どもに本当に必要な環境とは何か

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子どもの不登校 ...子どもに必要な「居場所」とは?

冒頭の鎌倉市立図書館のツイートについては、賞賛や共感の声がある一方で、「不登校を助長する」という批判も一部では見られます。しかし、同じ不登校であっても、多くの蔵書がある図書館に行った場合、本を読むことで知識を吸収したり、学習をしたりして、他の場所で時間を潰すよりも、はるかに有意義な時間を過ごせる可能性があるのです。

 

近年では、ADHDや自閉症スペクトラムといった発達障害が原因で、授業についていけなかったり、学力に問題がなくても、集団行動が苦手で「学校に適応できない」といった子どものケースが問題となっています。こうした子どもたちに必要なのは、学校以外で「安心して過ごせる」居場所であり、「社会に出たときに生きていける能力」を身につけられる学習環境なのです。
 
 
 

子どもの不登校 ...我が子が学校に行かなくなったら

現在の日本の義務教育課程においては、不登校の子どもが学校外の施設(フリースクールなど)に通っている場合でも、一定の要件を満たしていれば、こうした施設で指導を受けた日数が「出席扱い」と認められて、小・中学校を無事に卒業できるケースもあります。

 

また、病気など何らかの事情で中学校に通えなかった人は、年に1回行われる「中学校卒業程度認定試験」を受けて合格すれば、中学校卒業程度以上の学力が認められて、高校入試を受ける資格が得られます。平成11年度からは、日本に住む外国籍の人でも試験を受けられるようになり、年齢超過のために日本の中学校に入れなかった、などという場合に活用されています。

 

さらに最近では、超党派の「フリースクール等議員連盟」と「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」によって、家庭やフリースクールでの学習を義務教育課程での学習とみなし、認めようという動きも出てきています。

 

不登校の問題が深刻化する現代。その背景にあるものには、陰湿ないじめの問題も指摘されています。こうしたツイッターが話題となること自体、行き場を失った子供たちに、どのように「居場所」を、また「学びの場」を提供するか、ということが問われているといえるでしょう。

 

<執筆者プロフィール>
井澤佑治(いざわ・ゆうじ) 舞踏家/ダンサー。通販メーカーのコピーライターとして、健康食品などの広告を数多く手がけたのちに、ダンサーとして独立。国内外で公演やワークショップ活動を展開しつつ、身体操作や食事療法などさまざまな心身の健康法を探究する。現在はダンスを切り口に、高齢者への体操指導、障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などにも携わっている。

 

<参考>
https://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/yousei.html
(図書館は読書の秘密を守ることについて 日本図書館協会)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/004.htm
(不登校への対応について 文部科学省)
http://www.kyobun.co.jp/news/20150604_01.html
(フリースクールや家庭学習 学校外でも義務教育と見なす 教育新聞)

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