「うつ病」を克服した経営者が語る復活までの2年半の軌跡:その19

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「うつ病」を克服した経営者が語る復活までの2年半の軌跡:その19 PEA診断に基づく新たな治療の開始

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巡り合ったPEA診断

そんな調査を続ける中、偶然、「血しょうPEA(リン酸〔P〕エタノール〔E〕アミン〔A〕)の濃度がうつ病の補助 診断に役立つ」という記事を見つけました。簡単に言うと、血液中のPEA濃度を測定することにより、うつ病であるか否かを診断できるというものです。「9割以上の精度で精神疾患を診断できる物質は、PEAの他に知られていません」と自信を持って書かれていました。そして、この記事を見た瞬間、半年前に放映されたNHKのうつ特集の中の、ある大学の総合病院での採血のシーンが頭に浮かんできました。
 
それは、現在、うつの程度がわかる血液検査の手法が確立しているということで、もうかれこれ3年近く寝込んで薬だけを飲んでいた、あるシステムエンジニアの回復の軌跡でした。彼は、大きなシステム開発の仕事を全面的に任されていましたが、その業務が上手くいかず、納期通り納められな くたった自分を責め、最終的には、何をするにも「億劫」になり、日々寝て過ごすようになっていたのです。
このエンジニアは、検査の結果、うつであることが明確になり、その結果に基づき、脳を鎮静化ではなく活性化させる系統の薬に換えました。その後、福祉施設の仕事を見つけ、毎日、体を動かすために自転車で出勤を続け、職場での人々とのコミュニケーションを通じて回復しつつあるという事例でした。
 
私もそうでしたが、うつになるととにかく何をするにも「億劫」になります。
これは、結局、意志が弱い自分が引き起こしていることではないかと疑ってしまい、無駄に頑張ろうとするものの心も体も全くついて来てくれません。一方、医者からはとにかく静養しろ 、何も考えるな(そんなことは出来ません。むしろ、考え、悩むからうつになっているのに・・)と言われます。結局、どうしたらいいのかわらないし、体も動かなくなり(動きも鈍くなり)、恐ろしいくらいの薬を消費する日々が始まります。明らかな病気なのか?心の弱さからさぼっているのかが全く持ってわからなくなるのです。
 

PEA診断に基づく新たな治療の展開

PEAの濃度は、病気かどうかを自分で判断する大きな根拠になります。NHK特集を見て、今回うつになったのは、心の弱さから来たのではなく(自らが負け犬になった訳ではなく)、自らの体が正常に判断して命を守ってくれた結果だと思った瞬間が、回復への一歩だったように思えます。そして、PEAの濃度検査をうけ、う つ病であることを、データとして認識できたとき回復にむけた更なる一歩を踏み出すことが出来たような気がしています。
 
平成25年 5月 4日(初検査)1.27μM(90%以上がうつ)
平成25年10月12日(2回目)1.92μM(ほとんどの場合健常者)
平成26年10月25日(最終回)2.12μM(ほとんどの場合健常者)
 
以上が「PEA、血液検査、都内、減薬」で検索して選んだ表参道の精神科診療院でのPEAの検査結果です。
最初の検査結果に基づき、PEAを上げ脳を活性化する系統の薬に集約する形で減薬を行った結果、半年後には健常者の数値まで到達することができました。PEAデータに基づく投薬だと、実感として変わった時に値も変わるし、薬を変えるべきときや変える理由もわかるので、治療に対して従来感じることが出来なかった信頼感や納得感を得ることができました。他にも、患者をうつから帰還させる為に沢山の心配りや工 夫がありました。そして何よりも、それらの根幹をなす、院長の医療に関わる動機と治療方針は、経営にも通じる素晴らしいものでした。
 
 

<執筆>
村井哲之
広島大学 政治経済学部 経済学科卒
法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退
事業構想大学院大学 研究員
環境プランナー
リクルート、第二電電(現KDDI)等を経て、現在、日本初の廃棄のコンシェルジェ
総合商社 (株)イブロン代表取締役

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