子どもの死因第1位・「不慮の事故」を事例から学ぶ

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子どもの死因第1位・「不慮の事故」を事例から学ぶ

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もっとも多いのは「転落」

 
子どもの家庭内事故5390件のうち、最も多いものは「転落」です。
発生場所上位3位は以下の通り。

 

・「階段」28.6%
・「ベッド」15.6%
・「ソファ」12.1%

 

ソファやベッドは子どもを寝かせることも多い場所ですね。
しかしある程度行動ができる年齢になると、格好の遊び場になります。
 
極力大人が目を離ささないのは言うまでもありませんが、ソファを置いたり、カーペーットを敷くなど、子どもがぶつかったり転落することを予想したものの配置を心がけましょう。

 

ソファでは、次のような事例も報告されています。

 

“4歳の息子が、電動リクライニングベッドのマットとヘッドガードの間に首を挟まれて窒息し死亡した。
ベッドは2年前にインターネット通販で購入したもの。下降ボタンを押さなくてもリモコンにちょっとした振動が伝わっただけで勝手に下降したり、リモコンを裏向きに置いた程度で下降ボタンが作動したりすることがあった。

 

親が目を離した間の事故なので詳細は不明だが、何らかの理由で起こしていたマットの背もたれ部分の裏側に入ってしまったようだ。
首が絞まるまで本人が下降ボタンを押し続けるとは考えられず、リモコンの不具合がなければ事故は起きなかったはずだ”

 

また「風呂場」も、転倒が起こりやすい場所です。
浴室は滑りやすく、転倒時の衝撃も大きくなりますので深刻なケガに至る場合があります。過去には次のような事例も報告されています。

 

“父親が娘の体を洗おうとして立たせたところ、娘が滑ってしまい、浴室内に置いてあった玩具に尻もちをついた。
そのとき、玩具のシャワーを支える支柱部分が膣に入り、内部を裂傷する大けがをした。母親が浴室に駆けつけたときは大量に出血していた。病院で医師から「大変なことです」といわれ出血がおさまるまで1週間入院した。

 

1週間後に退院したが、自宅に向かう車中で大量出血し、医師の指示により救急車にて即刻病院に戻り、全身麻酔をかけて手術を受けた”

 

風呂場では「溺水(おぼれてしまうこと)」もあります。
大人からみるとそこまで深くないと思う風呂の水位でも、ふとしたはずみで溺れてしまうのが子どもです。
 
いっしょに入っていて目を離した隙に、また入浴中ではないときに、風呂場に勝手に入って行って溺れてしまった事例もあるそうです。
意外ですが、ドラム式でない洗濯機では、洗濯槽に落ちて溺死する、というケースもあったそうです。

 

また、調理器具や暖房器具による「やけど」も事例が多くあがっています。
炊飯器の蒸気口に手を触れたり、テーブルの上においてある電気ケトルに触って転倒させ、やけどをしてしまう、といった事故です。

 
 

子どもは昨日と今日は違うことをする

 
子どもは日々成長・発達しています。
大人の行動をよくみていてすぐに真似をしますし、昨日はできなかったことが今日はできるようになっています。
 
その過程では、必ず何らかの事故が発生し得ることを念頭におき、家庭用品を購入するときは、子どもにとって安全性の高い商品か、使いやすく工夫されたデザインか、という視点で商品を選ぶことも大切です。

 

最新の家電などを購入したときは、大人でも少しワクワクするものですよね。
 
でもそのわきで、子どもはもっと好奇心をかきたてられています。
使い慣れていないものは、とくに安全対策に万全を期しましょう。
 
そのためには、自分の子どもの月齢や年齢で起こりやすい事故、重症化しやすい事故、発生頻度が高い事故は何なのかを知っておくことが大切です。

 

国民生活センターのホームページなどでは、過去に起こった子どもの事故について、たくさんの事例があがっていますのでぜひ参考にしてください。

 

 

<参考>
国民生活センター医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -子ども編-
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_4.pdf

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