(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
認知行動療法:ポジティブ・シンキングから適応的認知へ
医療的なエビデンスもあることから、うつ病や不安障害などの心理療法として非常に注目されている「認知行動療法」。
その啓発書には、認知行動療法は『非適応的な認知を適応的な認知に変えることをめざします。』と謳われています。
そして具体的にポジティブ・シンキングとの違いを比較し、ポジティブ・シンキングを「主観的で、自分の都合が優先され、効果はあっても一時的」と批判しています。
『ポジティブであることが、充分な根拠なしに前向きさを奨励する』と問題点がピックアップされているのです。
現実的なポジティブさを!
たしかに素朴なポジティブさは現実離れした「前向きさ」を生んで、本人はのんきに楽観的でも周囲の人が困っていたり、迷惑していたりすることもあるでしょう。
第一、ネガティブかポジティブかという発想自体が、「あれかこれか」といった善悪二元論で短絡的です。
しかし現実的(認知行動療法でいう「適応的」)であれば、ポジティブであることが苦難を乗り越えていく原動力になることは、以前から変わりはないでしょう。
そんな脆弱ではない、たくましさとしての「ポジティブネス」は、これからもなお必要とされるでしょう。
【参考】
・日本うつ病学会 双極性障害委員会『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』(http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/pdf/bd_kaisetsu.pdf)
・福井至、貝谷久宣監修『やさしくわかる認知行動療法』ナツメ社、2016年
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
スポンサーリンク