他人のことなのに、まるで自分が…「共感性羞恥」

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他人のことなのに、まるで自分が…「共感性羞恥」

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共感性羞恥は治した方がよい?

 
共感性羞恥を頻繁に経験している人の中には、「こんな感情になるのは、自分だけ?治した方がいいの?」と不安に思う方もいるかもしれません。
 
しかし、ここまでお話してきたように、共感性羞恥という現象は専門的にも一定の人に確認されているものです。また、病的な現象でものないので、とくに治す必要はないでしょう。
 
ただ、「それでも改善したい」という方は、そのシーンに遭遇した時に「相手はどう感じているのか?」ということに焦点を当ててみると良いでしょう。
 
実は、しばしば自分は共感性羞恥を経験していても、相手(渦中の当事者)は恥ずかしいと思っていないことがあるということが分かっています。テレビ番組に登場するお笑い芸人を例に挙げてみましょう。
 
共感性羞恥を経験する人の中には、「芸人が滑るとわかっているシーンを見ていられない」という方がいます。
 
しかし、当事者である芸人が滑ることを恥ずかしいと思っているかというと、必ずしもそうではありません。これを身近な場面に置き換えてみても、相手が恥ずかしいと思っている場合もあれば、そうでない場合もあるのです。
 
共感性羞恥を経験しやすい人は「自分だったら恥ずかしい」という視点だけではなく、相手の立場に立ってそのシーンを捉え直してみることで、共感的関心と個人的苦痛とのバランスが取れ、共感性羞恥にとらわれなくなるかもしれません。
 
 
【参考】
・桑村幸恵「共感性羞恥と心理的距離」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/17/3/17_3_311/_pdf)
・登張真稲「多次元的視点に基づく共感性研究の展望」(http://ci.nii.ac.jp/els/110001223677.pdf?id=ART0001566172&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1473215391&cp=)
・有光興記「罪悪感、羞恥心と性格特性の関係」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/77/2/77_2_97/_pdf)
 
 

<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆

 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

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