悪いだけじゃない!「メラニン」は必要不可欠

Mocosuku(もこすく)
  • 悪いだけじゃない!「メラニン」は必要不可欠

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

悪いだけじゃない!「メラニン」は必要不可欠

公開日時

メラニンはどうやってできるの?

 
メラニンは、皮膚の「基底層」にある「メラニン細胞(メラノサイト)」の中で作られています。
 
皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という3つの構造をしています。
 
このうち、表皮はさらに4つの層に分かれていて、一番真皮に近いところにあるのが「基底層」です。
 
基底層は、「角化細胞(ケラチノサイト)」やメラニン細胞などで構成されています。メラニン細胞は、この基底層とその奥の真皮にややはみ出して存在しています。
 
メラニンは、紫外線を浴びることで生成が促されます。
 
紫外線の情報は、角化細胞からメラニンへと伝達されています。情報を受け取ったメラニン細胞は、アミノ酸のひとつ「チロシン」をもとに、「チロシナーゼ」をはじめとする酵素の力を借りながら、メラニンを生成します。
 
生成されたメラニンは、メラニン細胞の樹状突起を通って角化細胞へと送られます。
 
角化細胞に貯蔵されたメラニンは、肌のターンオーバー(古くなった細胞が肌の表面に押し上げられ、はがれ落ちる肌の新陳代謝のこと)によって、肌表面へと上がり、最終的に垢(あか)としてはがれ落ちます。
 
しかし紫外線の量が多く、メラニンがたくさん生成されてしまったときや、不規則な生活習慣や加齢によって肌のターンオーバーのサイクルが遅くなっているときには、生成されたメラニンが色素沈着を起こしやすくなります。

 
そして、この色素沈着こそがシミの正体なのです。

 
 

メラニンの役割

 
多くの人が認識しているように、確かにメラニンはシミの原因となります。
 
しかし、本来メラニンには身体を守る重要な役割があります。どのような役割があるのか、ご説明します。

 

紫外線から肌を守る

メラニンの最も重要な役割は、紫外線から細胞を守ることです。
 
先ほどお話ししたように、メラニン細胞の中で作られたメラニンは、角化細胞に送られ、貯蔵されます。
 
このとき、メラニンは、角化細胞の上方に集中しますが、これは角化細胞内のDNAを紫外線から守るためです。
 
また、ユーメラニンはとくに、紫外線に対抗する力が強いといわれています。
 
皮膚がんは、黒人よりも白人に多い病気ですが、これはユーメラニンの量が少ないことが関係していると考えられています。

 
 

活性酸素の吸収

活性酸素は、強い酸化力を持つ酸素のことです。活性酸素には、体内に侵入した細菌を攻撃し、身体を守る役割があります。
 
ところが、活性酸素の量が増えすぎると、老化を促進したり、細胞を傷つけてしまうことがわかっています。
 
活性酸素が増える原因はいくつかあります。
 
たとえば、紫外線は活性酸素を増やすことが分かっています。
 
また、ニキビや吹き出物ができたときも、これらの原因となる菌を攻撃するために活性酸素が増えます。
 
そして活性酸素が増えると、メラニンの生成も増えるといわれています。
 
これは、メラニンには、活性酸素を吸収し、細胞へのダメージを軽減させる役割があるからです。
 
つまり、紫外線によってシミができたり、ニキビの後にニキビ跡ができるのは、活性酸素から細胞を守るためにメラニンがたくさん生成されたということなのです。
 
活性酸素は、お肌にハリやツヤを与える「コラーゲン」や「エラスチン」を攻撃し、シワやたるみなどの原因にもなるため、メラニンは肌の老化を防ぐ役割もあるといえるのです。
 
 
ここまでお話したように、メラニンは身体にとって不可欠な存在です。
 
メラニンが過剰に生成されると、シミの原因となってしまうことには変わりませんが、きちんと紫外線対策をすることで、そのリスクは減らすことができます。
 
また、肌のターンオーバーを遅らせる生活習慣の乱れもメラニンの色素沈着を招く原因になります。
 
身体にとって必要なメラニンと上手につき合っていくためには、普段の生活を見直すことが大切であるといえるでしょう。

 
 
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【スキンケア】新着記事

頭皮がたるむと顔もたるむ?  頭皮の老化と顔のカンケイ

頭皮がたるむと顔もたるむ? 頭皮の老化と顔のカンケイ

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 『フェイスラインがぼやけてきた』『ほうれい線のハの字型が目立ってきた』『口角が下がってきた』… いずれも顔のたるみを痛感する憂鬱な現象...

2019/07/19 18:30掲載

原因は汗づまり? 水虫と間違えやすい「汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)」とは

原因は汗づまり? 水虫と間違えやすい「汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)」とは

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ ジメジメしたこの季節、不快な症状のひとつ「かゆみ」が気になるという人は多いと思います。 そんな「かゆみ」の症状のなかに、水虫と似ている...

2019/06/25 18:30掲載

すこやかな美肌をキープする秘訣は… お肌の季節別ケア♪

すこやかな美肌をキープする秘訣は… お肌の季節別ケア♪

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 季節に左右されない健康な肌を保つためには、基本のお手入れはもちろん、その季節に合ったスキンケアを取り入れることも大切です。 それぞれの...

2019/04/26 18:30掲載

「22時~深夜2時はお肌のゴールデンタイム」の信憑性

「22時~深夜2時はお肌のゴールデンタイム」の信憑性

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 睡眠中の午後10時~午前2時は「お肌のゴールデンタイム」…という話を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。 ...

2019/02/08 18:30掲載

洗いすぎると体臭キツイ!? 臭いを予防するカラダの洗い方

洗いすぎると体臭キツイ!? 臭いを予防するカラダの洗い方

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 毎日のように洗浄剤を使い、タオルやスポンジなどでゴシゴシ身体を洗っていませんか? 清潔そのものに思えるその習慣…実は逆に皮膚の悪玉菌を...

2019/01/06 18:30掲載

スキンケアをしないという選択。 お肌の「断食」はアリ?

スキンケアをしないという選択。 お肌の「断食」はアリ?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「肌断食」という言葉を聞いたことがありますか? お肌によいのであれば一度試してみたい…と思われる方もいるのではないでしょうか。...

2018/12/25 18:30掲載