認知症とはちがう「せん妄」とはどういう状態?

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認知症とはちがう「せん妄」とはどういう状態?

公開日時

せん妄はどんな人に起こるの?

 
せん妄は、脳の障害や身体疾患が脳に二次的な障害を及ぼして起きる「器質性精神障害」や、薬物の影響で起きることが多いと言われています。
 
また、高齢者の場合は、脳の機能が落ちて意識障害を起こしやすくなりますし、身体疾患やストレスによってせん妄も起こりやすくなります。
 
一般に、意識障害は脳の脆弱性(ぜいじゃくせい)の表現として発症しますが、とりわけせん妄は、心理的・環境的因子の影響を受けやすいと言われています。
 
 

せん妄の治療について

 
現在のところ、せん妄には必要最小限の向精神薬による薬物療法が施されていますが、次のような対応で、改善や症状の軽化が見られるとされます。
 

  • 1.ベースにある身体疾患の治療を行い、せん妄を助長する因子を改善する
  •  

  • 2.誘因となった薬剤を中止する
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  • 3.睡眠・覚醒リズムを改善させる
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  • 4.環境を調える

 
特に環境調整については、聴覚や視覚、触覚における適度な刺激が改善に効果的とする臨床医の指摘もあります。
 
日中にラジオを聴かせる、アナログ時計やカレンダーをそばに置くなどの工夫が考案されています。
 

【参考】
落合滋之監修『精神神経疾患ビジュアルブック』学研、2015
 
 
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

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