「がんになりやすい」という人はいるの? 特徴はある?

Mocosuku(もこすく)
  • 「がんになりやすい」という人はいるの? 特徴はある?

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

「がんになりやすい」という人はいるの? 特徴はある?

公開日時

「がんにかかりやすい」人って?

 
そもそもがんは、特定のウィルスなどが要因になるものを除き、人から人に感染する病気ではありません。
 
遺伝的な要因が関わってくることもありますが、近年、がんの原因の多くはタバコや飲酒、食事など、日常の生活習慣にあることがわかってきました。
 
国立がん研究センターでは、日本人のがんの予防には「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つが重要であるとしています。
 
がんは完全に「かからないようにする」ことはできませんが、この6つの要素に気をつけることによって「なりにくくする」ことができるのです。
 
逆をいえば、「がんにかかりやすくなる」危険因子が多くなると、がんにかかりやすくなる可能性が高まります。
 
 

「がんにかかりやすくなる」危険因子って?

 
がんにかかりやすくなる危険因子は、私たちの生活の中に関わってくるものです。
 
その危険因子をみていきましょう。
 

喫煙

 
タバコと肺がんの関係は有名ですが、タバコは肺がんのリスクを高めるだけではありません。
 
近年の研究結果で、胃がんや食道がん、膀胱がんなど、多くのがんに関連することが示されています。
 
さらに、喫煙者の中でも喫煙本数が多い、喫煙期間が長い、喫煙を始めた年齢が若い人ほどリスクが高くなるといわれます。
 
また、タバコを自ら吸わない人でも、受動喫煙によって肺がんとなるリスクが高まります。
 
 

食生活

 
食事もがんにかかりやすさに関わっています。
 
たとえば「塩分の摂りすぎている」「野菜や果物を摂らない」「熱すぎる飲み物や食べ物を摂る」といった食生活が、胃がんや食道がんを発症するリスクを高めるといわれています。
 
また、食生活にも関連する体重過多や肥満が、大腸がんや閉経後の乳がんなどのリスクを高めるといわれています。

 
 

多量飲酒

 
多量の飲酒は、アルコールを代謝する肝臓だけでなく、食道や大腸がんのリスクも高めるといわれています。
 
また、飲酒が女性の「乳がん」のリスクを高める可能性についても指摘されています。
 
アルコールに弱い人は強い人と比べて、飲酒によるがんにかかるリスクが高いなど、飲酒ががんにかかりやすくなる要因となることもあるのです。
 
 

運動不足

 
運動不足が直接の原因となり、何らかのがんの発生リスクが高まったという研究報告などはありません。
 
けれど、運動することによってがんの発生が抑えられるといわれています。
 
身体活動量が多い人ほど何らかのがんになるリスクが低下するという報告や、大腸がんにおいては、運動によって発生リスクの低下がみられたという報告もあります。
 
 
このように「がんにかかりやすくなる」危険因子は私たちの生活習慣の中において、改善できるものでもあります。
 
危険因子を知り、生活習慣を変えることで「がんにかかりにくくする」ことができるのです。
 
がんの危険因子に多く当てはまる人は、一度自身の生活を見直し、がんにかかりにくくする生活習慣へと変えることでがんの予防に努めていきましょう。
 
 
【参考・出典】
・『科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究』(http://epi.ncc.go.jp/cgi-bin/cms/public/index.cgi/nccepi/can_prev/outcome/index)
 
・『国立がん研究センター 人のがんにかかわる要因』(http://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause/factor.html#hyo02)

 
 
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【がん(その他)】新着記事

「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ かつては「不治の病」といわれた「がん」。 しかし、診断技術や治療方法の進歩によって、今では格段に生存率が向上しています。 入院日...

2019/05/28 18:30掲載

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 熱い飲み物をはじめ、たとえば出来立ての小籠包や焼きたてのピザなど… 飲み物や食べ物による口のなかのやけどは、どなたも経験したことがある...

2019/04/23 18:30掲載

別名・みなしご病、「LCH:ランゲルハンス細胞組織球症」を知っていますか

別名・みなしご病、「LCH:ランゲルハンス細胞組織球症」を知っていますか

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 血管の外の組織にあり免疫の働きを担当する白血球の一種「組織球」。 この組織球の一つ「ランゲルハンス細胞」に異常をきたす病気が「ランゲル...

2019/04/12 18:30掲載

AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 子どもから大人になっていく過程のAYA(アヤ)世代。 印象深いライフイベントが次々にめぐってくるこの時期に、「がん」という病気...

2019/03/22 18:30掲載

女性に多いがんのひとつ「大腸がん」…今から知っておくべき基礎知識

女性に多いがんのひとつ「大腸がん」…今から知っておくべき基礎知識

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 女性のがんによる死亡数第一位が「大腸がん」であることを知っていますか? ライフスタイルの変化などにともない、大腸がんは日本で増...

2019/01/23 18:30掲載

“がん家系” “若いと進行が速い”  「がん」の通説、本当はどうなの?

“がん家系” “若いと進行が速い” 「がん」の通説、本当はどうなの?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 日本人の死亡原因は男女ともに「がん」が第一位です。 「がん」にまつわる話題はニュースや雑誌などで日々取り上げられ事欠きません。...

2018/11/06 18:30掲載