「自分が自分である」感覚を喪失する…?「離人症」とは

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「自分が自分である」感覚を喪失する…?「離人症」とは

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離人症の原因

 
離人症は主観的な症状ということもあり、原因を特定しにくいと専門家は言います。
 
また、調査や研究も少なく、精神症状の中でもわかりにくい症状の一つといわれています。
 
それでも、精神や脳に何らかの負荷がかかった結果起こる症状であることは、ほぼ確実といわれています。
 
強いストレスに耐え切れなくて、自分を守るために無意識にとられる反応といえるでしょう。
 
たとえば、解離性障害は虐待やトラウマ的な出来事に起因するとみなされています。
 
つまり、心をストレスから解離させ、これ以上傷つかないよう防御していると解されています。
 
離人症はそんな解離性障害の“入口”で起こる障害で、さらに重症化すると、同一性障害、健忘や遁走といった症状に進行していくと考えられます。
 
 

離人症の治療

 
突然発症し、長期にわたって症状が継続し、かつ症状が一定しているとされる離人症。
 
不安などの症状には抗不安薬などの薬物療法が施されます。
 
また、精神療法も行われますが、次のような基本的前提が提起されています。
 

安全な環境と安心感の獲得

有害となる刺激を取り除く

人格の統合や心的外傷の直面化にはあまりこだわらない

幻想の肥大化と没入傾向の指摘

支持的に接し、生活一般について具体的に助言する

(本人が)言語化困難な状態であることを考慮し、隠れた攻撃性や葛藤について触れる

病気と治療についてわかりやすく明確に説明する

自己評価の低下を防ぎ、つねに希望が持てるように支える

破壊的行動や自傷行為などについては行動制限を設け、人格の発達を促す

家族、友人、学校精神保健担当者との連携をはかる

 
このように、強いストレスや刺激から離れた環境を整え、医師との信頼関係を基軸に、薬物療法と精神療法が行われます。
 
また、治療中の本人や家族に、解離性障害に関する必要な情報を提供して、この病気を適切に理解することが大切です。
 
一方で、他の患者さんと頻繁に接触することで、かえって混乱してしまわないような配慮も求められています。
 
 
【参考】
・柴山雅俊監修「解離性障害のことがよくわかる本」(講談社 2012)
・ハートクリニック 心の病気のはなし「離人・現実感喪失症候群」(http://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f40/f48_depersonalization_derealization_syndrome.html)
・厚生労働省 心の病気を知る「解離性障害」(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_dissociation.html)
 
 
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

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