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亜鉛欠乏症が引き起こす症状
慢性的に亜鉛が不足すると次のような症状が現れます。
成長障害
亜鉛は細胞の分裂や増殖に欠かせないミネラル。
たんぱく質やホルモンの合成、DNAの複製などに深く関与しているので、欠乏すると細胞の成長を阻害します。
免疫力低下
免疫にかかわる細胞の働きにも関与するため、欠乏すると免疫力が低下して感染症や自己免疫疾患にかかりやすくなります。
味覚障害
舌にある味蕾は味を感知する器官で、新陳代謝が活発です。亜鉛はこの働きを促進しています。
よって不足すると、味がわからない、苦く感じるなどの味覚障害に陥ることがあります。
皮膚や爪の異常、抜け毛
粘膜や皮膚・爪の状態を良好に保つためにも亜鉛は欠かせません。
かゆみや慢性湿疹、爪の異常や脱毛などに亜鉛欠乏が関与していることがあります。
ED(勃起不全)への影響
亜鉛は男性の性機能のうち、精子やテストステロンの生成に関わっています。
不妊男性には亜鉛不足が見られ、亜鉛は精子の数や運動率にも関わっているといいます。
亜鉛欠乏がED(勃起不全)をひき起こすことも指摘されています。
亜鉛欠乏症への対処
亜鉛欠乏症には「ノベルジン」という治療薬が用いられます。
低出生体重児、低身長の子ども、味覚障害などに処方薬として服用されるようになりました。
しかしながら、服薬よりも先ずは食事によって十分な亜鉛を摂取することをおすすめします。
亜鉛を多く含む食材は、
カキ・アワビ・タラバガニ・するめ・豚レバー・牛肉・卵・チーズ・高野豆腐・納豆・エンドウ豆・切り干し大根・アーモンド・落花生などの、肉、魚類、穀類、木の実・種などです。
また、白米よりも胚芽米、パスタも胚芽入りの方が亜鉛の含有量は多くなります。
なお、亜鉛不足を気にするあまり、亜鉛を多く含む食品に偏って食べる、サプリメントを多く摂る、など過剰摂取にはご注意ください。
吐き気や腹痛、低血圧などの症状がでることがあります。
亜鉛は通常の食生活をしていて摂り過ぎになるようなことはありません。
【参考】
一般社団法人日本臨床栄養学会『亜鉛欠乏症の診療指針2016』(http://www.jscn.gr.jp/pdf/aen20170613.pdf)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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