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統合失調症発症の要因
統合失調症の発症率は、10代後半から30歳代の若年層で最も高いという特徴があります。
発症のピークは、進学・就職・結婚・出産といった重要なライフイベントの時期と重なるのです。
やはり、ストレスが発症に影響するという現れなのかもしれません。
従来、統合失調症は地域に関係なく1%ほどの発症率を示していたので、遺伝性や体質などが要因とされてきました。
しかし、最近ではこの素因(統合失調症になりやすい)に加え、ストレスや人間関係などの外的要因も絡んでいると考えられています。
統合失調症発症の要因として、最近注目されているのは「脳内物質の変調」の影響です。
「脳」には無数の神経細胞のネットワークが構築され、情報伝達が行われています。
神経細胞同士が「シナプス」と呼ばれるすき間(間隙=連結部)をはさんで情報伝達をしていることがわかってきました。
シナプスで情報を伝達するのが「神経伝達物質」と呼ばれる「脳内ホルモン」で、うつ病で知られるようになったセロトニンをはじめ、グルタミン酸やアセチルコリン、GABA(ギャバ)などが挙げられます。
なかでも「ドーパミン」は統合失調症に深く関与することが指摘されています。
ドーパミンは、感情・意欲・注意・認知・運動などに作用し、興奮や緊張をもたらす物質です。
これが過剰に放出され異常な興奮や緊張、注意力や集中力の低下、あるいは妄想や幻覚を誘発していることが解明されつつあります。
精神分裂病から統合失調症へ
2002年、国際精神医学会において「統合失調症」という病名に正式に変更されました。
それまでは「精神分裂病」と呼ばれ、「人格崩壊」「怖い」「不気味」「一生治らない」などの誤解や偏見から、人格を否定するようなイメージがついて回っていました。
新しい病名は、「精神活動が一時的に変調している状態」を意図して名づけられています。
統合失調症は、早期の適切な治療によって症状の軽減や回復が果たせます。
また、薬物療法や精神療法、社会復帰のためのリハビリテーションプログラムも進歩し、現在では受け入れる周囲の側も理解を深め、協力者・支援者も増えてきています。
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