納豆・タマゴ、実はNG? 栄養価で見る食べ合わせのホント

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納豆・タマゴ、実はNG? 栄養価で見る食べ合わせのホント

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栄養学的に見て推奨できない組み合わせ

 

天ぷらとスイカ

 
「天ぷらとスイカ」はよく言われる合食禁のひとつ。
夏のメニューに、冷たい蕎麦と天ぷら、デザートにスイカ…なんて、良さそうな組み合わせですよね。
 
ところが、油が多い天ぷらは胃腸でたくさんの消化液を利用して消化され、一方、水分が多いスイカは消化液を薄めてしまい消化不良を起こす可能性を高めるのです。
 
スイカは切り方にもよりますが、一回に食べる量が多くなりがちです。
こぶし1つ分におさまる程度の少量であれば問題はありませんが、胃が弱い、下痢を起こしやすい体質の方は避けるようにしたほうがよいでしょう。
 
 
なお、天ぷらとスイカに限らず、油の多い食材と水分の多い食材を組み合わせると、消化の段階で悪影響を及ぼす可能性があります。
 
たとえば、揚げ物を食べるときに水をガブ飲みする、水分の多い果物をたくさん食べる、といった食事は控えるようにしましょう。
 
※天ぷらと氷水(かき氷)も言われますが、これも同じ理由です。
 
 

スイカとビール

 
スイカもビールも利尿作用があるため、のどを潤したつもりが、実は水分を排出し過ぎていて、結果的に脱水状態を招くかもしれません。
 
これも夏場にありがちな組み合わせです。
トイレの回数が増えたら、その分水分補給をして脱水症状の予防を心がけましょう。
 
 

大根と人参

 
人参に含まれるアスコルビナーゼという酵素は、ビタミンCを壊す作用があります。
アスコルビナーゼは、すりおろして細胞が破壊されると働きますので、他の野菜と一緒に調理するとビタミンCは減少します。
 
ただし、アスコルビナーゼは加熱や酸によって働きが変化します。
加熱調理や酢やレモン汁の使用で作用を抑えられますので、鍋ものや紅白なますなどは理にかなった料理と言えます。
 
人参のほかにアスコルビナーゼを多く含む野菜は、キュウリ、春菊、かぼちゃ、りんごなどです。
これらの野菜を生のままサラダやジュースでいただくときは、早いうちにドレッシングと和えたり、レモン汁を加えたりするとよいでしょう。
 
 

食事中の緑茶

 
緑茶に含まれるタンニンは、鉄分の吸収を妨げる働きがあります。
ですから、食事前後にタンニンを含む緑茶、紅茶などを飲むのはあまりおすすめできません。
 
ただし、鉄分のなかでも動物性たんぱく質に多く含まれるヘム鉄は影響が少なく、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は影響が大きいことがわかっています。
 
鉄分が全て吸収されないという訳ではないので、過剰な心配は無用ですが、とくに貧血症状をお持ちの方、月経中の女性などは控えたほうがよいでしょう。
 
 

栄養学的に見て問題ない組み合わせ

 
言い伝えとしては知られているものの、栄養学的に見て損失がなく問題ない組み合わせもあります。
 

鰻と梅干し

 
これも有名な合食禁。
 
かつては消化が悪くなるという理由で食べ合わせが悪い、とされていたようですが、むしろよい組み合わせと言えます。
梅干しは胃酸を分泌させ食欲を高める作用があります。
 
この迷信が生まれた理由には諸説ありますが、梅干しは食欲増進作用も持っているため、高級食材の鰻を食べ過ぎないように「悪い組み合わせ」にした…という説には「なるほど」と思ってしまいます。
 
 
また、高級な食材を食べ過ぎないように、という理由で合食禁となった組み合わせには、「おこわと河豚(ふぐ)」「筍と黒砂糖」などもあります。
 
これらも栄養学的に見て悪い組み合わせとは言えません。
 
 

あさりと松茸

 
春が旬のあさりと秋が旬の松茸、どちらかの旬に合わせるともう一方が傷んでしまう、という理由から悪い組み合わせと言われています。
初夏が旬の鮎と冬が旬のゴボウも同じ理由です。
 
しかしながら今日、保存や保管技術の向上により、旬ではなくてもこれらの食材を安全に入手できるようになりました。
組み合わせとして栄養価が下がるということはありません。
 
 

納豆と卵

 
納豆と卵のコラボがお好きな方は多いのではないでしょうか。
実はこの組み合わせには注意点があります。
 
納豆にはビオチンというビタミンの一種が含まれています。
ビオチンは皮膚の機能を健康に保つ働きを持っていますが、卵白に含まれるアビジンという成分はビオチンの吸収を阻害してしまうのです。
そのため、よくない組み合わせと言われることがあります。
 
しかし、身体への悪影響が起こるのは、卵10個分ほどに相当する卵白を摂取したときです。
通常食べる量では問題はなく、むしろ忙しい朝にたんぱく質を補うメニューとしては優秀です。
 
気になる方は、アビジンは卵白に含まれる成分ですから、黄身だけにしたり、卵白が過熱された状態の温泉卵にしたりすると、アビジンの影響を減らすことができます。
 
 
いかがでしたか?
昔から言い伝えられる「悪い食べ合わせ」には、栄養学的見地から本当に避けるべきものとそうでないものが混在しています。
 
ただし、避けたほうがよい組み合わせも取り入れ方によっては問題ないこともあります。
 
そして、食べ合わせは別として、食べ過ぎや偏った食べ方が身体に悪影響を及ぼすということは、全ての食材に当てはまります。
 
今回の記事を参考に言い伝えを意識しつつ、バランスの良い食事を心がけてみてください。
 
 
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

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