「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

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「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

公開日時

がん対策推進基本計画

 
がん患者の就労を含めた社会的な問題への対策は、2014年に閣議決定された「がん対策推進基本計画」で初めて個別目標として掲げられました。
 
ここでは、取り組むべき施策として次の点が挙げられています。
 

がん患者や経験者の就労に関するニーズや課題を明らかにする

治療と職業生活の両立を支援するための仕組みを検討する

患者の長期的な経済負担の軽減策を検討する

患者が働きながら治療が受けられるよう、医療機関は配慮する

事業者も患者が働きながら治療や療養ができる環境の整備、さらに家族ががんになった場合も働き続けられるよう配慮する

 
このように、がん患者への就労支援対策は、一つは医療機関など「治療の場」で、もう一つは企業や就労支援事業など「雇用の場」で行われるよう、実態把握・支援方策の検討・実際の支援の3つのカテゴリーにおいて制度が構築されてきました。
 
 

ガイドラインの策定

 
東京都が2014年に行った「がん患者の就労等に関する実態調査」によると、従業員が私傷病(業務外での病気やケガ)になった際、その適正配置や雇用管理について対応に苦慮したと回答した企業は、89.5%でした。
 
こうした状況の企業に対して、治療と仕事の両立支援へのサポートや、医療機関の両立支援対策をより強化する必要があるとの判断から、2016年、厚生労働省は「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を発表しています。
 
その内容は次の5項目から構成されています。
 

1. 治療と職業生活の両立支援をめぐる状況

2. 治療と職業生活の両立支援の位置づけと意義

3. 治療と職業生活の両立支援を行うにあたっての留意事項

4. 両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)

5. 両立支援の進め方

 
こうした動きに呼応して、たとえば埼玉県は事業者向けに「がん治療と仕事の両立支援のポイント」と題した情報を配信しています。
 
 

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