アスリートの妊娠 生理について注意すべきこと 利用可能エネルギー不足って?

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アスリートの妊娠 ,生理について注意すべきこと 利用可能エネルギー不足って?

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アスリートの妊娠 :決して精神論で乗り越えてはいけない月経の辛さ

 
まじめな人やストイックなアスリートほど、辛いトレーニングなどの日々の努力を惜しみません。「月経くらいで弱音を吐いてはいられない」と、月経に関連した症状を我慢したり、強い気持ちで乗り越えようとする人もいますが、次のような病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
 

月経困難症

アスリートのみならず、全ての女性に言える事ですが、もしも、薬で何とかしたり、気持ちを強くもたなければいけないような月経(生理)痛(月経困難症)を感じている人は要注意です。月経(生理)痛は不妊症にも関連する「子宮内膜症」などの病気が隠れている場合があるからです。骨盤痛を訴える思春期女性のうち、19~73%に子宮内膜症だったたという報告もあります。
 

月経前症候群(PMS)

これも、アスリートのみならず、全ての女性に言える事ですが、月経で辛いのはその期間中だけではありません。月経前に、イライラや集中力の低下、不安や焦りなどの精神的な変化、胸の張りや身体のむくみ、だるさ、頭痛などの身体的な変化が強いものを月経前症候群といいます。
 
月経困難症、月経前症候群ともに、我慢するのは、将来の妊娠・出産にも影響を与えかねない危険なことです。月経にまつわる何らかの症状を煩わしく感じるときには、婦人科へ受診をしましょう。受診をすると、原因となる病気がないかを確認し、快適に過ごすための生活の整え方、薬の使い方など、日々のメンテナンスとパフォーマンスの安定に繋がるでしょう。
 
※スポーツ活動と生理の折り合いの付け方については「スポーツと生理 :生理がくると楽しめない? スポーツ選手にみる、上手に付き合いながら楽しむ方法とは」 で詳しく説明しておりますので、ご確認ください。
 

アスリートの妊娠 :「月経がこない」は危険信号

 
特別なトレーニング習慣のある女性アスリートにとって、月経がないことが当たり前になってしまっていることもあります。
国立スポーツ科学センターの調査(683名)によると、約4割の女性アスリートで月経(生理)周期の異常があるそうです。また、特別な運動習慣のある女性では、一般女性よりも初経が遅れることも知られており、18歳になっても初経がない「原発性無月経」は一般女性の3.7倍という高率でおこっているとの報告もあります。
 
「無月経」は、女性アスリートの三主徴の一つでもあり、女性としての強い身体づくりをする上で、とても重要で決して見逃してはいけないものです。月経(生理)周期が整うためには、脳の視床下部という部分が司令塔となっているのですが、運動性無月経の場合、司令塔がうまく働かずに、無月経が引き起こされてしまっていることが多いと考えられています。
 
女性アスリートたちが運動性無月経を起こしている場合、主な要因として、次のようなものが考えられます。
 

  1. 1. 利用できるエネルギーが不足している
  2. 2. 体重や体脂肪が減少している
  3. 3. 身体的・精神的なストレスの負担が大きい
  4. 4. ホルモン環境が変化している

 
競技としては、体操・新体操・長距離選手などに月経(生理)周期の異常が多いと言われていますが、1~4の要因があるような女性には誰にでも起こり得ることとして、注意しておく必要があります。
 
特別なスポーツ習慣がない一般女性にとっても、ダイエットを繰り返したり、栄養が偏っている場合には、1、2の要因による無月経になる可能性があることは同様ですし、女性も男性と同様にバリバリ働くことが求められるような環境や家庭環境などによっては、3のストレス要因も避けがたいことかもしれません。「無月経」とは三ヶ月以上、月経がないことをいいます。
ただし、無月経期間が長くなると、その後の妊娠が難しくなったり、治療をしても回復しづらい可能性もあるほか、1~4などの要因が影響し合っているケースもあるため、「無月経」となってから取り組むのでは遅く、早めに気づいて対処していくことが大切です。
 

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