EP配合剤(LEP製剤を含む)の血栓症リスク :月経困難症から解放されるベネフィットは、リスクをはるかに上回る!?

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EP配合剤(LEP製剤を含む)の血栓症リスク :月経困難症から解放されるベネフィットは、リスクをはるかに上回る!?

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生理痛や生理前の不快な症状がつらいけど、月経困難症の治療薬、  EP配合剤(LEP製剤を含む)の血栓症リスク  が心配・・・という方もいらっしゃるかもしれません。都市伝説ではなく、本当のところどのくらいのリスクがあるのか? 服用するときの注意点や、生活面で気をつけたほうがいいことは?などについて、婦人科医の太田郁子先生に詳しくお話を伺いました。

 

 EP配合剤(LEP製剤を含む)の血栓症リスク :発症率 は、1万人あたり3〜9人程度。妊娠中や分娩後のほうがはるかに高い

 

少し前にメディアで「EP配合剤(LEP製剤を含む)により血栓症が起こる可能性がある」と報じられました。血栓症とは、血管内で血液がかたまりを作ることで血管をふさぎ、それによって血液の流れが少なくなる(場合によっては止まる)状態のこと。血栓ができた部位によって、動脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞などの名称がついています。

血栓症発症のリスクは、年間1万人あたり1〜5人であるのに対し、EP配合剤を服用している女性では3〜9人と報告されています。また、妊娠中および分娩後12週間の血栓症の発症頻度は、それぞれ年間1万人あたり5~20人、および40~65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比べると、EP配合剤を服用時の発症率はかなり低いものとなっています*。

 

ではどうして、頻度はかなり低いとはいえEP配合剤(LEP製剤も含む)を服用すると血栓症を起こすリスクが高まるのでしょうか。太田先生は「EP配合剤に配合されているエチニルエストラジオールという成分は血液凝固作用があるため、血が固まりやすくなるのです。ちなみにEP配合剤による血栓症は妊娠中に起こる血栓症と比較しても重症度は低く、妊娠中は子宮による大動脈圧迫、凝固機能の高まり、エストロゲン値の上昇などが起こるので、妊娠中の血栓症のほうがはるかに危険です」と解説します。

 

妊娠中や分娩後の血栓症のほうがよほどリスクは高く、EP配合剤を服用することでのリスクをいたずらに恐れる必要はないといえそうです。
では、服用するにあたってはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
*数字は日本産科婦人科学会ホームページより

 

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