末期がんでも復活する? がんの治療法 とは

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末期がんでも復活する? がんの治療法 とは

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 がんの治療法 :陽子線治療とは?

 

陽子線治療は放射線治療のひとつです。水素の原子核を加速させてがんを攻撃する陽子線治療には、一般的なX線を用いた放射線治療にはない特徴があります。

 

陽子線は体内に入っても均一にエネルギーを放出するわけではありません。表面近くではエネルギーを放出せずにある程度深部に達してから、停止する直前に大きなエネルギーを放出します。どの程度の深さでエネルギーを放出するのかを調整することで、周囲の正常組織への影響を抑えて、狙ったがん細胞にエネルギーを集中させることができます。陽子線のこうした特性を「ブラッグ・ピーク」といいます。

 

X線による放射線治療は病巣の周辺にある正常組織も同等の影響を受けるため、陽子線に比べると副作用が生じやすくなります。ただし、綿密な計算により多方向からX線を当てることで、放射線の分布を腫瘍に集中させる「IMRT(強度変調放射線治療)」という方法によって、X線による放射線治療の成績も向上しています。費用面では大きく異なっており、保険が適用されない陽子線治療が1件あたり約280万~300万円なのに対して、IMRTは保険適用により1件あたりの自己負担が約35万~40万円となっています。

 

なかにし礼さんは外科手術、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせていました。これは、現在のがん治療の特徴です。「外科治療が上手くいかず、抗がん剤治療が上手くいった」ケースのような印象を受けるかもしれませんが、こうした理解は正確ではないでしょう。外科手術は抗がん剤治療の併用を想定しており、また、取り切れなかったとはいえ、切除による一定の効果があったために抗がん剤が効いたとも考えられるからです。がん治療においては、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療の併用が進められています。

 

執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)

監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)

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