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先日、解散騒動によりファンを始め関係者の方々に心配をかけたとして、SMAPのメンバーによる謝罪会見が行われました。
解散騒動に至った真実の経緯については、当事者以外には知る由もありませんが、一部では、所属事務所による謝罪の強要ではないかといった意見も出ています。
また、少し前には、衣料品店の店員に対して土下座を強要し、店員が土下座している写真をインターネット上で公開した悪質クレーマーが強要罪で逮捕されるという事件もニュースとなり、近時、「謝罪の強要」という問題への関心は高まっています。
他方、業務上の注意・指導やクレームの手法として、謝罪を求めることが一切否定されるかというと、もちろんそうではありません。
そこで、今回は、謝罪という行為の性質に照らしつつ、どういった行為がパワハラになってしまうかという観点から説明したいと思います。
人格否定を伴う謝罪を要求したり、大勢の従業員が見ている前で謝罪を要求することはNG
パワハラとは、職場での地位の優位性を背景に、「業務の適正な範囲を超えて」精神的・肉体的苦痛を与え、過度にストレスを蓄積させる行為をいいます。
暴行・傷害、侮辱・暴言、隔離・無視といった行為はもちろん、業務上明らかに不要な仕事あるいは本人の能力・経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる行為や、私的なことに過度に立ち入る行為も含まれます。
例えば、部下の犯したミス等について上司が部下に対して謝罪を求めるケースについて考えてみると、部下の犯したミス等について上司が謝罪を求める場合というのは、通常、ミスの原因及びその重大性を正しく認識させることで、同じミスを繰り返すことを防ぐという指導上の目的に基づいて行われるものですので、当該目的を達成する上で必要な限度で謝罪を求めたに過ぎないのであれば、業務の適正な範囲に基づく行為としてパワハラには当たらないといえるでしょう。
これに対し、「この度は私が能無しだったため、ミスを犯してしまいました。申し訳ありません。」などのように、人格否定を伴う内容の謝罪を求めたり、大勢の従業員が見ている前での謝罪のように、徒に羞恥心を辱めるような形で謝罪を求めることは、業務の適正な範囲を超えるものとしてパワハラに当たってしまうでしょう。
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