覚せい剤とは何か? 種類 症状 常習性など

Mocosuku(もこすく)
  • 覚せい剤とは何か? 種類 症状 常習性など

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

覚せい剤とは何か? 種類 症状 常習性など

公開日時

覚せい剤の症状

 
覚せい剤を注射すると、いくつかの段階を経て常習者となっていきます。
 

ラッシュ

最初打ったときに感じる快感です。心拍は早くなり、血圧や脈拍が上昇します。30分ほど続きます。
 

ハイ

快感の後に続く状態のことで、4時間~16時間持続します。
自分が鋭敏になったような気分で、論争をしたり、他人の話に割って入って自分勝手な結論を出したりします。
また、妄想がでて、同じ事を繰り返したり、1つのことに何時間も集中していたりします。
 

酩酊状態

アルコールを飲み過ぎてコントロールがきかなくなった場合の酩酊状態とは異なり、ハイの状態を保つために、更に覚せい剤を使用したいという衝動を抑えられなくなることをいいます。
酩酊状態は、3日~15日間続くこともあります。
 
酩酊状態の間は、精神も体もハイパーアクティブになりますが、常習性が高まると、その快感は弱まっていき、最終的には快感を得ることもハイな状態を感じることもできなくなります。
 

禁断症状

酩酊状態が終わると、覚せい剤から快感やハイの状態が得られなくなってしまい、猛烈な空虚感と薬物への渇望がでて、自己の感覚を失ってしまいます。
精神異常をきたした状態に陥り、皮膚の下を虫がはっているなどの感覚を覚え、何日も眠ることができなくなります。
鮮明な幻覚がでてきて、現実世界から遮断され、危険な存在になります。自傷のリスクもあります。
 

破綻

体が薬物の作用に対処できなくなると、破綻状態になります。
この状態になると、長時間眠り続け、生気がなくなります。1日~3日続きます。
 

脱力感

破綻の後、衰弱や飢え、脱水、身体的、精神的に完全に消耗した状態になります。
2日~14日ほど続きます。
このような状態を抜け出したいために覚せい剤を使用して、解決しようとします。
 

離脱反応

覚せい剤を使用して30日~90日程経つと、離脱反応を経験します。
うつ状態になり、エネルギーや能力がなくなります。
そして、ますます覚せい剤を渇望するようになり、自殺を試みることもあります。
 
離脱は、極度の苦痛を伴うものなので、ほとんどの乱用者が覚せい剤を使用してしまいます。
治療しても90%以上が乱用者に戻ってしまいます。
 
 

覚せい剤をやめることはできるのか?

 
これまでお話してきたように、覚せい剤は強い常習性や辛い離脱反応があるため、本人の力だけでやめることは簡単なことではありません。
では、覚せい剤をやめるためにはどんなことが必要なのでしょうか?
 
ここで、薬物依存症患者のためのリハビリ施設「ダルク」の取り組みをみてみましょう。
 
 
ダルクでは、入寮して、「薬物中毒から回復したい」という同じ目的をもつ仲間たちと自助グループを作り、グループセラピーやミーティングを通して今までとは違う生き方を練習していきます。
ほかにも、山登りや様々なスポーツなどのレクリエーションを行い、薬物を使わないで生きることを実践しながら、回復を目指していきます。
 
また、ダルクでは、入寮者だけでなく、スタッフも薬物依存症の経験者であるため、お互いに悩みを分かち合いながら、成長していける環境が作られています。
ダルクの例を見てわかるように、覚せい剤をやめるためには、仲間の存在が非常に重要なのです。
 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【薬】新着記事

世界中が重要視! 『薬剤耐性(AMR)』の拡大を防ぐ対策

世界中が重要視! 『薬剤耐性(AMR)』の拡大を防ぐ対策

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「風邪をひいたら抗生剤!」 そんな風に思っていませんか? 一般的に抗生剤と呼ばれる抗菌薬は、実は風邪などのウイルスには効...

2019/06/14 18:30掲載

長くツライ便秘… 便秘薬に頼っても大丈夫?

長くツライ便秘… 便秘薬に頼っても大丈夫?

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ つらい便秘が長引くときは、セルフメディケーション(※)として便秘薬を使う方法もあります。 セルフメディケーションを取り入れる際は「どの...

2018/03/26 18:30掲載

医薬品・医薬部外品・化粧品… この三つの違いはなに?

医薬品・医薬部外品・化粧品… この三つの違いはなに?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ ドラッグストアなどで買い物をするときに、「薬用」とか「医薬部外品」といった表示が気になったことはありませんか? 薬やスキンケア用品など...

2018/03/06 18:30掲載

今さら聞けない「漢方薬」 ふつうの薬とは何が違う?

今さら聞けない「漢方薬」 ふつうの薬とは何が違う?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「漢方薬」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 「ふつうの薬よりなんか良さそう」「副作用が少ない」「緩やかに効果がでる」な...

2018/02/19 18:30掲載

自分の健康を管理する。「セルフメディケーション」を知ろう

自分の健康を管理する。「セルフメディケーション」を知ろう

執筆:大田 あこ(薬剤師) 皆さんは「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか? 高齢化社会といわれる近年、生活習慣病の増加などに伴い、健康の維持、病気の予防への関心が高まっています。...

2017/10/28 18:30掲載

8月24日は「薬害根絶デー」 薬害と副作用の違いとは

8月24日は「薬害根絶デー」 薬害と副作用の違いとは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 病気を治療したり悪化を防ぐために飲む薬。 「薬は安全」と思って飲んでいる人は多いでしょう。しかし、人災で薬による健康被害(薬害)が...

2017/08/23 18:30掲載