仕事と失神 …働き盛りが注意すべき病気のシグナル5

Mocosuku(もこすく)
  • 仕事と失神 …働き盛りが注意すべき病気のシグナル5

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

「失神」は働き盛りが注意すべき病気のシグナル

公開日時

失神の前駆症状

 
多くの場合、意識を失う前に前駆症状(前兆)を自覚します。具体的には、目の前が暗くなったり、場合によっては白くなったりします。また、人の話し声が急に小さく聞こえたり、冷や汗をかいたり、血の気が引く感じ、不快感や吐き気など、いずれも血圧が低下した時の症状です。

 

これらの前駆症状に続いて意識を失います。意識を失うこと自体には自覚症状がないため、「気がついたら倒れていた」という場合が少なくありません。なお、前駆症状として頭痛や胸痛がある場合は、くも膜下出血や心臓病の可能性があり、重症のサインです。

 
 

失神の主な3タイプ

 
失神は、大きく次の3タイプに分けられます。とはいえ、一般人には区別がつなないので、失神を自覚した際や他の人から指摘された場合は循環器内科を受診しましょう。
 

神経調節性失神

最も多い失神で、いわゆる「脳貧血」です。顔色が悪くなり、立っていられなくなって座り込みます。
呼びかけても反応が鈍く、けいれんを起こしたり、倒れたりします。同じ姿勢で長時間立っていた時、急に立ち上がった時、睡眠不足や疲れが蓄積したときなどに起こりやすくなります。

 

これは、突然低血圧が起こることが原因で、立位で血圧を維持するための神経反射が破綻することで起こります。
 

不整脈が原因の失神

このタイプの失神は突然死を起こす病気が隠れている場合もあり、気をつけなければなりません。
予兆がなく、横になっていても気を失う場合があります。再発率が高く、治療しないと発症者の2割程度が1年以内に死亡するという報告もあります。

 

特に不整脈によって引き起こされ、心筋梗塞や心筋症などの可能性があります。このほか、俗にぽっくり病と呼ばれる「ブルガダ症候群」など、突然死につながる病気のおそれもあります。
 

脳動脈硬化症による失神

脳に血液を送る血管が動脈硬化を起こすことによる失神です。
極めて稀なものですが、年間で78万人が経験すると言われています。

 

症状としては、めまい、ふらふら感が主です。鎖骨下動脈に狭窄(血管の一部が細くなっていること)があったり、頸動脈の一部に狭窄があったりすると、急に失神を起こすことがあります。電車のつり革を持った時、後ろを振り向いた時、下を向いた時など、一定の姿勢で繰り返してふらつきを感じる特徴があります。

 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【病気(その他)】新着記事

自律神経に良い『トリプトファン』を効果的に摂取してハッピー♪になろう

自律神経に良い『トリプトファン』を効果的に摂取してハッピー♪になろう

執筆:磯野 梨江(管理栄養士) 医療監修:株式会社とらうべ 「トリプトファン」はアミノ酸の一種です。 トリプトファンが不足すると精神的に不安定な状態や不眠などを招き、やがて自律神経や体内リズムの乱れ...

2019/07/16 18:30掲載

原因は汗づまり? 水虫と間違えやすい「汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)」とは

原因は汗づまり? 水虫と間違えやすい「汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)」とは

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ ジメジメしたこの季節、不快な症状のひとつ「かゆみ」が気になるという人は多いと思います。 そんな「かゆみ」の症状のなかに、水虫と似ている...

2019/06/25 18:30掲載

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 熱い飲み物をはじめ、たとえば出来立ての小籠包や焼きたてのピザなど… 飲み物や食べ物による口のなかのやけどは、どなたも経験したことがある...

2019/04/23 18:30掲載

あなたの周りは大丈夫?「ゲーム依存は病気です」とWHOが認定

あなたの周りは大丈夫?「ゲーム依存は病気です」とWHOが認定

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ ゲームが気になってスマホが手放せない、休みの日は際限なくゲームにのめりこんでしまう… そんな状態に陥っている人はいませんか? ...

2019/01/04 18:30掲載

口や目の渇きには気をつけて! 女性に多い疾患「シェーグレン症候群」

口や目の渇きには気をつけて! 女性に多い疾患「シェーグレン症候群」

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ いつも喉が渇いて水分が手放せなかったり、目が乾燥してつらかったりすることはありませんか? もしかすると、その原因には「シェーグ...

2018/12/21 18:30掲載

眼科の代表的な病気「白内障」と「緑内障」 白と緑でなにが違う?

眼科の代表的な病気「白内障」と「緑内障」 白と緑でなにが違う?

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ さまざまな眼の病気のなかでも、「白内障」と「緑内障」の患者数は、近年増加傾向と言われています。 名前が似ているため、同じような病気と誤...

2018/12/07 18:30掲載