最愛の人を失ったとき… 「複雑性悲嘆」という症状も

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最愛の人を失ったとき… 「複雑性悲嘆」という症状も

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「複雑性悲嘆」の原因や症状はどんなもの?

 
複雑性悲嘆とは、大切な人を亡くした後、激しい悲しみが1年以上続き、日常生活に支障をきたす状態を指します。

 

・亡くなった人のことが常に頭から離れない
・強い孤独感や寂しさを感じる、亡くなった人を探す
・亡くなった人がいない人生は無意味だと感じる
・強い怒りやイライラを感じる
・亡くなったことを思い出させるものや状況を避ける

 

このような状態が挙げられ、大切な人の死を受け容れられず、常にその人のことを考えてしまいます。そのため、日常生活が混乱したり、仕事・学業、対人関係などの社会生活に支障が生じる場合があります。

 

乗り越えるために「今を、受け容れられるか」

 
昭子さんは、現在はもう「夫ロス」を克服していると語っています。そのきっかけとなったのが本の出版でした。ある出版社から連絡があり、友人の勧めもあったことから、すすむさんとの出会いや別れなどの思い出を綴りました。

 

そんな執筆活動を通して、生前すすむさんが言っていた「自由にやりたいことはやれよ。俺はタレントになるという夢が叶った。だから今、君の夢を全部叶えるから」というコトバを思い出したそうです。
 
その瞬間、昭子さんはやっと夫の死を自覚できたと述懐しています。
 
「悲しい気持ちは消える。でも忘れることはできない。寂しい気もちはあります。そばに誰かいて欲しいですよ」とも語っています。

 

昭子さんは、夫・すすむさんの死に対するショック、死を受け容れたくない気もちを、執筆という活動を通して、今までのすすむさんとの人生を振り返り、周囲の助けを借り、認めたくない感情・現状を徐々に受け容れることができたのでしょう。現在が過去を乗り越えた瞬間でもありました。

 

大切な人の死を受け容れるのは簡単なことではありません。辛い時は独りで抱え込まず、親しい人や、時には医師、カウンセラー、保健師などメンタルヘルスの専門家に相談することも大切です。

 
 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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