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執筆:森 ジュンヤ(理学療法士)
腰のしびれは不快なもので、ときに痛みをともないます。
自分以外の人に正確に症状を伝えることも難しく、悩んでしまうこともあります。
今回は、そんな「腰のしびれ」の原因と対処法につい、詳しくご紹介していこうと思います。
「しびれ」の原因は大きく2つにわけられる
「しびれ」の原因の分け方は、さまざまな分類法があります。
ただ細かく分類していくと専門的で分かりにくいものになってしまいます。ここでは、腰に注目して「しびれの原因」を大きく2つにわけてみていきます。
ひとつは神経の障害による「しびれ」、これは「神経障害性のしびれ」といわれるものです。
もうひとつは神経の障害でない病気やケガでおこる「しびれ」で、「非神経障害性のしびれ」とされるものです。
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
1.神経の障害が原因となる腰の「しびれ」
神経の障害が原因となる「しびれ」とは、神経が圧迫されたり、傷ついたりと直接ダメージを受けてしまうことおこるものです。
ダメージを受けた場所によって以下の3つに分けることができます。
脳が原因のもの
脳の病気によって、腰のしびれをおこすことがあります。たとえば、脳血管障害などが代表的です。
脳の神経が障害されると腰を含む左右の片側の痛み・しびれ、手足の麻痺(しびれや無感覚)などがみられることがあります。
さらに言葉の障害や視覚の障害などが複雑にみられる場合もあります。
障害を受けた脳の場所によって、症状の現れ方が違います。
脊髄・神経根が原因のもの
脊髄(せきずい)というのは、背骨のなかにある神経の束(たば)のことです。
脳と脊髄は、神経の中枢部とされるので、中枢神経とよばれることもあります。
また神経根(しんけいこん)とは、脊髄からからだ全体に向かって神経が伸びはじめる根元の部分のことです。
背骨に何らかの問題があると、根元の部分で神経が圧迫されたり傷ついたりして「しびれ」や「痛み」を生じることがあります。さらに筋力の低下、排尿や排便の障害をともなう場合もあります。
有名な病気として、腰の椎間板ヘルニア、あるいは腰の脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などがあります。
末梢神経が原因のもの
末梢神経(まっしょうしんけい)とは、脳や脊髄を中枢神経とよぶのに対して、からだのいろいろな場所に分布する神経の末端部のことをいいます。
脳や脊髄を電気の発電所や電信柱とたとえれば、末梢神経は各家庭に伸びている電線のイメージです。
末梢神経がダメージを受けると、やはり痛み・しびれといった症状があらわれます。末梢神経の障害をおこすものに、毒物・アルコールなどの中毒、免疫の異常、糖尿病などがあります。
しびれ・マヒなどの症状が、手袋や靴下を着けるところに出現しやすいことから「手袋靴下型の神経障害」ともいわれます。しかし、なかには腰や背中、お尻などに「しびれ」を感じる人もいます。
そもそも神経とは、細長い形をしていて感覚や運動に関わる情報のやりとりをする細胞です。からだのあらゆる場所に網の目のように張り巡らされています。
そして神経が情報を伝える手段として使っているのが「電気」です。
神経は、電気を使うことで素早い情報のやりとりをします。細長い神経の形状と電気を用いるという特性から、神経は電線に例えられます。
からだが電気にふれると「しびれ」ます。
神経にトラブルがあれば、「しびれ」という症状がおこるのは、何となくイメージできるのではないでしょうか。
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