薬剤師が解説する「サプリメント」と「薬」の違い

Mocosuku(もこすく)
  • 薬剤師が解説する「サプリメント」と「薬」の違い

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

薬剤師が解説する「サプリメント」と「薬」の違い

公開日時

サプリメントと薬の併用は可能?

 
サプリメントの中には、薬との併用によって、薬の効果を弱めてしまったり、逆に強めてしまい、副作用が出やすくなるものもあります。

 
ですから、組み合わせによっては、薬との併用に注意しなければいけません。
 
具体的に薬との併用で注意すべきこととして、次のようなものがあります。
 

脂溶性ビタミンを過剰摂取する危険性

 
サプリメントには、ビタミン成分が一緒に配合されているものも多くあります。
 
ビタミンには、水溶性ビタミン(ビタミンB群やビタミンCなど)と脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンD、ビタミンEなど)があります。
 
水溶性ビタミンは、過剰になれば尿とともに排泄されるため問題ありませんが、脂溶性ビタミンは、摂り過ぎると体内に蓄積し、過剰症を起こすことがあります。
 
たとえば、ビタミンA過剰症では、皮膚の乾燥やかゆみ、脱毛、頭痛など、ビタミンD過剰症では、高カルシウム血症による、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状がみられる場合があります。
 
薬としてビタミン剤を服用中にサプリメントを併用することにより、脂溶性のビタミンを摂り過ぎになってしまうことがあり、注意が必要です。

 
 

ワルファリンカリウムとの併用

 
血液を固まりにくくするワルファリンカリウム。
 
この薬を服用中にクロレラや青汁などビタミンKを多く含むサプリメントを併用することで、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。
 
ビタミンKは血液凝固に関与しています。
 
ワルファリンカリウムは、ビタミンKの働きを阻害することによって、血液を固まりにくくする薬であるため、その効果を弱めてしまうのです。
 
ビタミンKを多く含むサプリメントの摂取は避けましょう。
 
 

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の影響

 
セイヨウオトギリソウは、精神を安定させたり、ストレスの緩和によいとされるハーブです。
 
セイヨウオトギリソウを含有するサプリメントは、多種の薬の代謝を促進して、薬の効果を弱めてしまうことが報告されています。
 
この他にも、注意しなければいけない組み合わせがまだあります。服用中の薬がある場合や、日常的に摂取しているサプリメントがあり、薬を服用することになった場合には、事前に具体的な薬やサプリメントの名称を医師や薬剤師に伝え、併用に問題がないかを確認するようにしましょう。

 
 
【参考文献】
・厚生労働省『健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて』(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood.pdf)
・厚生労働省『健康食品のホームページ』(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/)
・薬事法マーケティングの教科書『健康食品(サプリメント)と医薬品の違い・飲み合わせ〔薬事法〕』(http://yakujihou-marketing.net/archives/266)
・一般社団法人愛知県薬剤師会『医薬品との併用に注意のいる健康食品』(http://www.apha.jp/medicine_room/entry-3755.html)
 
 

<執筆者プロフィール>
大田 あこ(おおた あこ)
薬剤師。某大学病院で調剤業務ならびに病棟薬剤業務に12年従事。現在は育児に奮闘しながら医療系記事の執筆を中心に活動中。
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【薬】新着記事

世界中が重要視! 『薬剤耐性(AMR)』の拡大を防ぐ対策

世界中が重要視! 『薬剤耐性(AMR)』の拡大を防ぐ対策

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「風邪をひいたら抗生剤!」 そんな風に思っていませんか? 一般的に抗生剤と呼ばれる抗菌薬は、実は風邪などのウイルスには効...

2019/06/14 18:30掲載

長くツライ便秘… 便秘薬に頼っても大丈夫?

長くツライ便秘… 便秘薬に頼っても大丈夫?

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ つらい便秘が長引くときは、セルフメディケーション(※)として便秘薬を使う方法もあります。 セルフメディケーションを取り入れる際は「どの...

2018/03/26 18:30掲載

医薬品・医薬部外品・化粧品… この三つの違いはなに?

医薬品・医薬部外品・化粧品… この三つの違いはなに?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ ドラッグストアなどで買い物をするときに、「薬用」とか「医薬部外品」といった表示が気になったことはありませんか? 薬やスキンケア用品など...

2018/03/06 18:30掲載

今さら聞けない「漢方薬」 ふつうの薬とは何が違う?

今さら聞けない「漢方薬」 ふつうの薬とは何が違う?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「漢方薬」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 「ふつうの薬よりなんか良さそう」「副作用が少ない」「緩やかに効果がでる」な...

2018/02/19 18:30掲載

自分の健康を管理する。「セルフメディケーション」を知ろう

自分の健康を管理する。「セルフメディケーション」を知ろう

執筆:大田 あこ(薬剤師) 皆さんは「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか? 高齢化社会といわれる近年、生活習慣病の増加などに伴い、健康の維持、病気の予防への関心が高まっています。...

2017/10/28 18:30掲載

8月24日は「薬害根絶デー」 薬害と副作用の違いとは

8月24日は「薬害根絶デー」 薬害と副作用の違いとは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 病気を治療したり悪化を防ぐために飲む薬。 「薬は安全」と思って飲んでいる人は多いでしょう。しかし、人災で薬による健康被害(薬害)が...

2017/08/23 18:30掲載