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アドレナリンとのつきあい方
勉強や仕事、運動をするときなど、適度なストレス状態になるとアドレナリンが分泌され、運動能力を高める、脳を覚醒して集中力を上げる…といった働きをします。
また、この間はエネルギーを大量に消費しますから、脂肪燃焼や代謝も促され体温が上昇するなど、ダイエットや冷え対策にも効果を発揮します。
さらに、危機状況下では脳や身体が認識して「痛み」に鈍くなるような鎮静効果ももたらします。
「火事場の馬鹿力」といわれる思わぬ瞬発力を発揮して、困難な問題を解決することもあります。
しかし、このようなストレス状態が長期にわたり慢性化すると、デメリットも発生します。
たとえば、末端の血行不良、内臓機能低下、代謝の衰え、便秘などの不調です。
また、高血圧や糖尿病が発症するリスクも高まりますし、自律神経のバランスを乱して自律神経失調症にいたる、ということまで指摘されています。
メンタル面においては、アドレナリンの過剰分泌が続くと、怒りっぽくなる、攻撃的になる、キレやすくなるなど感情に作用し、パニック発作につながる可能性もあります。
反対に、アドレナリンの枯渇は、無関心・無気力といった抑うつ状態や、ASD(急性ストレス障害)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)のきっかけになるとも指摘されています。
「過ぎたるは なお 及ばざるがごとし」の格言にあるとおり、ホルモンはまさに「過剰」も「不足」も心身に良いことではありません。
何事もほどほどに…アドレナリンとも上手につきあうことが健康の秘訣といえるでしょう。
ちなみに、アドレナリンは日本の科学者、高峰譲吉と助手が発見して、初めて結晶化に成功しました。
研究が世界に認められるまでには、なかなか興味深いエピソードがあります。
関心のある方は、調べてみてはいかがでしょう。
【参考】
野口哲典『マンガでわかるホルモンの働き 性別までを左右する不思議な物質の正体とは?』(サイエンス・アイ新書 2013年)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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