(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
体内時計とは異なる「タイマー式の時計」が存在する可能性
睡眠学の専門家で自己覚醒について研究している、三島和夫博士(国立精神・神経医療研究センター)によると、自己覚醒を試みた夜は同じ人でもふだんより入眠直後に深い睡眠を得ていたといいます。
そして、効率よく脳を休ませ睡眠後半の目覚めを楽にしているのではないか?という仮説に至っています。
また、自己覚醒に成功した人の右前頭葉の血流が覚醒30分ほど前から増加していることも突き止めました。
自己覚醒の詳しいメカニズム、身体への影響についてはまだ解明されていませんが、体内時計とは別にタイマー式の時計が存在し、その時計の機能が強化されると自己覚醒が可能になり、効果も現れるのではないかと考えられています。
さらに、そのタイマー時計を解明する鍵は、副腎皮質刺激ホルモンが握っているかもしれない…とみられています。
もともと副腎皮質刺激ホルモンには、覚醒効果をもたらす生理的作用が認められています。
通常の睡眠では、深い睡眠が多い午前3時ころまでは分泌は少なく、明け方に向け徐々に分泌が増すということがわかっていました。
ところが、自己覚醒では、起床予定時間にあわせて副腎皮質刺激ホルモンが分泌される機能が確立されているかもしれないのです。
それが簡単な暗示により実現するというのは専門家も驚きを隠せないところであり、今後の研究が実に楽しみな分野です。
体内時計を確実にリセットすることの大切さ
それはさておき…規則正しい睡眠習慣を身につけて、毎朝決まった時間に自発的に起きられるようにするには、まずは体内時計の働きを整えることが大切です。
整体のリズムを規則化する体内時計は、およそ24時間余りを周期とします(以前は25時間くらいといわれていました)。
時計時間はきっちり24時間ですから、このずれを修正するには毎朝目覚めたら太陽の光を浴びましょう。
太陽の光によって睡眠と覚醒の切り替えができて体内時計がリセットされると、睡眠をコントロールするホルモン、メラトニンが正常に分泌されます。
本来備わっている体内時計のメンテナンスを怠らず、オーソドックスな目覚め方も大切にしましょう。
そのうえで、大変興味をそそられる今回のテーマ、自己覚醒にもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
慣れないうちは、保険として目覚まし時計や家族の力を借りることをおすすめします。
【参考】
心理学研究 2012年第83巻第1号 池田大樹、林光緒『自己覚醒が日中の眠気に及ぼす影響』 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/83/1/83_1/_pdf)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
スポンサーリンク