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フレイルの指標
たとえば、風邪を引いたとき健康な人は養生すれば数日でよくなりますが、フレイル状態だと「風邪が長引く」「こじらせて肺炎になる」「転倒して打撲や骨折にいたる」などにつながりやすくなります。
さらに、重症化すると「寝たきり」になってしまうかもしれません。
このように、病気ではありませんが弱っている状態がフレイルなのです。
また、フレイルは身体能力を低下させ死亡率を上昇させますし、ストレスや病気への抵抗力も弱い状態です。
しかし一方では、周囲が早期に察知し適切に対応すれば、要介護状態を遅らせる、健康な状態に近づける、といった改善が可能であることも強調されています。
フレイルの評価方法としては、現在のところアメリカ人老年医学者リンダ・フリードによるCHS基準(Cardiovascular Health Study、別名フリード基準)が主流で、日本版のJ-CHS基準が設けられています。
以下のうち、3項目以上該当するとフレイル、それ以下だとプレフレイルと判断します。
体重減少(年間4.5kgまたは5%以上の意図しない体重減少)
疲れやすい(何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じている)
歩行速度の低下
握力の低下
身体活動量の低下
この基準をベースに、研究機関や自治体では、さまざまなフレイルチェックを実施しています。
詳細は以下をご覧ください。
※公益財団法人長寿科学振興財団『フレイルの診断』(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html)
どうしてフレイルになるのか?
フレイルは「フレイルサイクル」という悪循環を生み出します。
これは、低栄養や転倒をくり返すうちに、嚥下・接触機能が低下し、ひいては意欲や認知機能まで落ちてしまい、抑うつや閉じこもりに連鎖するという悪循環です。
食事面の低栄養や運動不足から体調不良になり、認知症や生きる意欲の低下につながって、寝たきりや閉鎖的な生活に陥るのです。
きっかけは次の2点だと指摘されています。
加齢にともなう心身機能の低下や慢性的な疾患が
「サルコペニア」(筋肉量が減少し、筋力や身体能力が低下した状態)を引き起こす
基礎代謝が落ちてエネルギー消費量が少なくなり、食欲が低下し「低栄養」状態になる
また、問題となっている高齢者の「低栄養」は次のような状態をいいます。
栄養素の摂取が必要量よりも少なくなって全体的に栄養素が不足している
そのなかでもとくに、PEM(Protein energy malnutriton:ペム)という、たんぱく質とエネルギーが十分に摂取できていない状態である
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