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ペットの親権問題 :離婚の際は柔軟な取決めがなされることが多い
以上のとおり、法律論としては、ペットはあくまでも「動産」として財産分与の対象となるのみですが、離婚調停などでは、当事者双方が納得する条件で離婚を成立させることに主眼が置かれているため、ペットについても、単に財産分与の問題として取決めを行うのではなく、親権や養育費に準じた議論を前提に取決めを行うケースが増えているようです。
例えば、どちらがペットを引き取るかという議論については、次のような点に照らして、引き取り手が決められることが多いようです。
1:過去の飼育状況
散歩、エサやり、動物病院での受診など、世話を中心的に行ってきたのはどちらか。
2:飼育の現状
別居後にペットの世話を行ってきたのはどちらか。
3:今後の飼育環境
今後、飼育に適した生活環境を提供することができるのはどちらか。
また、飼育費用についても、定期的な面会を認めることを条件に、当事者双方で折半する(あるいは、経済的資力のある方が全面的に負担する)といった形にすることもあるようです。
もちろん、このような取決めは、当事者間での話し合いによる解決を前提としたものですが、当事者双方が「ペットも大切な家族の一員である」という考えを持っているならば、未成年の親権に関する議論と同様、ペットにとって幸せな環境は何かということも意識して話し合うことが必要でしょう。
破局や離婚に加え、ペットまでをも失ってしまうと喪失感に襲われてしまうもの。心が壊れてしまわないよう、じっくりと話し合う必要がありそうです。
参考:愛犬の親権問題(http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150805-OHT1T50139.html)
執筆:石井林太郎(弁護士)
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