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補助人工心臓 :心臓移植までの生命維持の役割
日本では、2009年の臓器移植法改正によって、小児重症心不全の患者に国内心臓移植の道が開かれました。しかし、課題もありました。法的に心臓移植の途が開けても、実際にドナーの提供がなければ移植手術を受けることはできず、待機期間が長引けば患者さんの生命にも影響するからです。
当初、日本には成人用の人工心臓しかありませんでしたが、日本心臓血管外科学会や小児循環器学会などが、小児用補助人工心臓として世界的にニーズの高い、「EXCOR」の認定を厚生労働省に要請し、実現にこぎつけた経緯があります。
補助人工心臓 :実績のある「EXCOR」
ドイツ・ベルリンハート社の「EXCOR」は、1990年以来、これまで世界で1100人余りの子どもたちに埋め込まれて成果を得てきました。新生児から成人までのすべての患者に適応できる機器で、心臓移植手術が行われるまでの生命を維持することができます。基本的に臓器提供されるまでの待機時間に使用されるものですが、補助人工心臓の機械的支援によって心臓の機能が改善する可能性もあるといいます。
今回の治験の結果は、心臓移植を必要とする患者さんを勇気づけるものに違いありません。小児重症心不全の患者さんがより良い医療を受けられるようになることが期待されています。
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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