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人工授精の2つの方法 AIHとAID
人工授精の仕方には、現在2つの方法が普及しています。
AIH(Artificial Insemination of Husband)・配偶者間人工授精
ひとつは、鈴木・大島夫妻のようにAIH(Artificial Insemination of Husband)と呼ばれるもので、夫の精子を使って行うものです。
最近の人工授精では、優良な精子だけを注入するやり方が一般的です。排卵のタイミングに合わせて精子を注入することで、性行為のときに比べて10cmほど、精子が卵子をめざす距離が短くなります。
成功率は5~10%で、あまり高くありません。AIHで妊娠した場合、自然妊娠だととらえることもあります。
AID(Artificial Insemination of Donor)・非配偶者間人工授精
もう1つは、AID(Artificial Insemination of Donor)と呼ばれていますが、夫が無精子症の場合など、絶対的男性不妊症の場合、ドナーの精液を使用して、人工授精して妊娠を試みます。
このドナーの精子提供者の条件は、健康な身体をもつ青年男子で、未婚であることです。実際には、医学部の学生などがドナーになることが多く、倫理的・社会的配慮に関してもしっかりとした意見をもっていること、精神的に安定していること、また、性病や肝炎などの項目がすべてマイナスであること、さらには、遺伝子検査なども含めて厳しいチェックを受けています。
また、人工授精する夫婦には、ご主人の血液型と一致させるだけで、誰からの提供なのかなどは一切明らかにされません。
AIDの場合のデリケートな問題
AIDは大変デリケートな問題を含んでいます。それは、精神的問題とも言えます。
AIDによって生まれてきた子どもは、もちろんご夫婦の正式な子どもです。けれども、実際にはご主人の子どもではありません。
「妻の血を受け継いでいるのだから」ということで、この方法を選択する場合が多いのですが、産まれてきた子どもが、自分たちのほんとうの子どもだと納得できるかどうかということです。
どんなことがあっても自分たちで育てるという、確固たる意志ができるよう、時間をかけて話し合ったり、カウンセリングを受けて相談したりして、納得がいってから、AID施術の選択に踏み切ってほしいものです。
●執筆者プロフィール:南部洋子(なんぶようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
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