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全日本仏教会の文書を読んで
全日本仏教会は「定額化はお布施の本来の宗教性を失わせる」と主張しています。
確かにこれは感覚的に肯ける面もありますし、宗教に関わる法人の見解として尊重されるべきものでしょう。
ただ、法律上、特に税法上は上記のとおり、定額の一事をもって、「喜捨ではない」とされる、ひいては宗教性が失われる訳ではありません。
以下は私見ではありますが、「お坊さん便」の「収益事業」性について検討してみたいと思います。
「お坊さん便」は定額のサービスです(1の観点)。
しかし、あくまで利用者は宗教的資格を持った「お坊さん」に宗教的儀式である「法要」等を行ってもらうことを想定しています。
サービスの性質を社会がそう捉えている以上は、他の一般事業体との競合可能性もなく(2と3の観点)、「収益事業」に該当しないと考えられます。
したがって、「お坊さん便」によって得た金銭を宗教団体が受け取るのであれば宗教活動に伴う収入となり、課税されないというのが素直な解釈といえます。(もっとも僧侶個人の給与に該当するケースは課税されます。)
「お坊さん便」のゆくえ
将来「お坊さん便」が盛んに利用されることで、宗教が国民にとって身近なものになっていくかもしれませんし、その逆に、日本の宗教観が薄れていき、法要に宗教的裏付けを求めない時代が訪れるかもしれません。
宗教と無関係な法要サービスが提供される時代が来るのであれば、「お坊さん便」が「収益事業」となることもあるでしょう。
「お坊さん便」は上記のような税務上の問題をはらみ、話題となっています。
もっとも、「お坊さん便」事業それ自体は適法な事業です。
したがって、利用者として気を付けなければならないことは、サービスの利用が、自分のニーズに合致しているのかを考える、ということに尽きるでしょう。
他の通信販売と同様に、自分が得たいサービスは何か、顔の見えない誰かからどんなサービスを、どのように得るのか、事後のトラブルを避けるためにも契約の申込前によく検討することが大切と言えましょう。
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