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仕事と治療の両立の難しさはどこにある?
次は、仕事と治療の両立の大変さについて、もう少し詳しく見ていきましょう。NPO法人Fine(ファイン)が、不妊治療に関心のある2265人(うち95%が不妊治療経験者)を対象に行ったアンケート調査(*2)の結果を見てみます。
不妊治療経験者の90%以上が「仕事と治療の両立が難しいと感じた」と回答しているほか、4割以上の人が「退職や転職などの勤務状況の変更に至っている」と答えたそうです。また、勤務状況が変わった理由については、「通院回数が多い」「診察・通院に時間がかかる」という回答が6割を超えています。
また、職場に不妊治療をサポートする制度などがありますか?」という質問に対して、「はい」と答えた人はわずか5.9%で、約80%の人が「いいえ」と答えています。これらの結果から、仕事と治療の両立を難しくしている背景には、不妊治療の「通院回数の多さ」をカバーできない職場のサポート不足があるようです。
多様な働き方を認める
続いて、「職場からどのようなサポートが欲しいですか?」という質問に対して、最も多かったのは、「休暇・休業制度(75.5%)」と「就業時間制度(74.2%)」という回答でした。特に、不妊治療を行う人が増える30代は、責任のあるポジションに移行していく世代でもあるため、これらのサポートへのニーズが高くなるようです。
このような結果を踏まえると、求められているのは、「有給休暇を取りやすい」「時短・フレックス制度」「長時間労働の是正」など、すでにある制度を状況に応じて運用できる態勢と言えるでしょう。
「制度があっても、利用できる雰囲気ではない」のでは意味がありません。つまり、本当に求められているのは、制度を活用するための風土づくりや、多様な働き方を受け入れる職場環境と言えるでしょう。
<執筆>
●井上 愛子(保健師)
<参考>
*1)山梨県「不妊に関する調査結果」(PDFファイルへの直リンク)
https://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/documents/41116170602.pdf
*2)NPO法人Fine「仕事と治療の両立に関するアンケート」(PDFファイルへの直リンク)
http://j-fine.jp/prs/prs/fineprs_ryoritsu1508.pdf
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