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子宮頸がんの原因
HPVは性行為によって感染することがわかっています。
ただ、HPVへの感染自体は珍しいものではなく、50~80%の女性は、一生に一度は感染するともいわれています(※1)。
また、感染してもおよそ90%は2年以内に自然に排除されるため、「HPVへの感染=子宮頸がんの発症」というわけではありません。
しかし、中には高リスク型のHPVに持続感染してしまうことがあり、その場合、異形成(子宮頸部にがんになり得る細胞が増えていくこと)という状態を経て、子宮頸がんの発症に至ることがあります。
また、喫煙も子宮頸がんの発症リスクを高めます。
これまでの研究で、喫煙をしているとHPVの自然な排除が妨げられ、軽度異形成を起こす可能性が上がることがわかっています(※2)。
このほか、ピルの服用も子宮頸がんの発症に関係しているという指摘もあります。
これに関して、ピルに含まれるエストロゲンやプロゲステロンが発がんを促すのではないか、という説もありますが、まだはっきりしたことがわかっていません。
ただ、ピルを服用している場合、コンドームなどによる避妊が行われないことも少なくなく、このことも発症率を高める理由であるといわれています。
(※1:東京逓信病院『子宮がん』http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/gan/gan_fujin/gan_fujin01.html)
(※2:藤田 宏行『子宮頸がんとその疫学』http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/jkpum/pdf/123/123-5/fujita05.pdf)
子宮頸がんが若い世代に増えている理由
かつて子宮頸がんの好発年齢は、40~50代といわれていました。
しかし、近年は20~30代の若い女性の間で患者数が増えています。
この背景にあるのが、性交渉の低年齢化です。
若いうちに性交渉を経験するということは、それだけヒトパピローマウイルスに感染する機会も増えるということを意味します。
また日本は、先進国に比べて子宮頸がんの受診率が低く、このことも若年患者の増加に関係しています。
厚生労働省のデータ(※3)によると、2013年の子宮頸がん検診の受診率(20~69歳)は42.1%でした。
これに対して、アメリカは84.5%、イギリスは78.1%、ニュージーランドは77%と、日本に比べて受診率が倍近く高いのです。実際、検診率が高い先進国では、子宮頸がんの発症率が下がっています。
このことからも、検診を受けることがいかに重要かお分かりいただけるでしょう。
(※3:厚生労働省『平成28年度 がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン』http://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_28/outline/low.html)
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