お酒の飲みすぎでお腹を下す?「アルコールと下痢」の関係

Mocosuku(もこすく)
  • お酒の飲みすぎでお腹を下す?「アルコールと下痢」の関係

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

お酒の飲みすぎでお腹を下す?「アルコールと下痢」の関係

公開日時

下痢の種類

 
下痢は、水分量が増加する原因によって大きく次の4つにわけられます。
 

浸透圧性下痢

 
腸の外から水分を取り込もうとする性質(浸透圧)が高い食べ物(砂糖や塩分が多いものなど)や、下剤などが腸管内にたまると、腸内に多くの水分が残り下痢をすることがあります。
 
これを「浸透圧性下痢」といいます。
 

滲出性(しんしゅつせい)下痢

 
細菌性腸炎やウイルス性腸炎などで腸内に炎症があると、炎症している部分から細胞内の体液や血液が腸内ににじみ出し、水分量が増えることがあります。
 
これが原因で起こる下痢を「滲出性下痢」といいます。
 

分泌性下痢

 
コレラ菌や赤痢菌などが原因で、消化管の粘膜からの分泌液が増えてしまうことがあります。
 
その結果、腸内の水分量が増えて「分泌性下痢」を引き起こします。
 

腸管運動異常

 
腸では、口から摂取したものを肛門に運ぶために蠕動運動(ぜんどううんどう)が行われています。
 
過敏性腸症候群などが原因で、この蠕動運動が活発になりすぎることがあります。
 
過敏性腸症候群とは、ストレスなどに起因して消化管の運動機能に異常をきたす症状で、下痢をくりかえす「下痢型」、便秘をくりかえす「便秘型」、下痢と便秘の両方をくりかえす「混合型」、そしていずれのタイプにも属さない「分類不能型」に分けられます。
 
なかでも下痢型は、ストレスで腸の機能が必要以上に高まり、蠕動運動が活発になりすぎていると考えられます。
 
蠕動運動が活発化しすぎると、腸の内容物は腸内を速いスピードで通過することになります。
 
そうすると、腸内で水分が十分に吸収されないまま便として排出されるため、下痢になることがあります。
 
このように、ひとくちに「下痢」といっても、いくつかのタイプにわけられます。
 
それでは、お酒の飲みすぎによる下痢はどれに当てはまるのでしょうか?
 
 

お酒の飲みすぎが下痢の原因となる理由

 
「アルコールは肝臓で分解される」、ということは多くの方がご存知でしょう。
 
口から摂取したお酒は、ほかの食べ物と同じように、まずは胃や小腸などで吸収されます。
 
なかでも小腸は約80%ものお酒を吸収しています。
 
お酒を飲みすぎると、小腸の粘膜にある酵素の働きが弱まって、糖や脂肪、水分、ナトリウムなどが吸収されにくくなり、浸透圧性の下痢になることがあります。
 
さらに、小腸で消化、吸収されなかったものが大腸に流入し、排出物が増えます。
 
そうすると、未消化・未吸収物を早く排出しようと、大腸の蠕動運動が活発になり、通過するスピードが速くなります。
 
その結果、水分の多い状態で便が排出され、お腹を下してしまいます。
 
ちなみに、飲酒による下痢の頻度は、30~60%といわれており、決して珍しい症状ではありません。
 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【アルコール】新着記事

食後の運転は大丈夫? アルコールが含まれるチョコやケーキ…

食後の運転は大丈夫? アルコールが含まれるチョコやケーキ…

執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー) 医療監修:株式会社とらうべ 「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな」 運転をする人もしない人も、誰しも肝に銘じている言葉でし...

2019/01/25 18:30掲載

宴会前に要チェック! お酒による頭痛の原因と対策

宴会前に要チェック! お酒による頭痛の原因と対策

執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー) 医療監修:株式会社とらうべ お酒を飲んだ後や翌日、頭がズキズキ痛い…この経験、多くの人は身に覚えがあるのではないでしょうか。...

2018/12/14 18:30掲載

口臭や体臭… 寝起きがキツイのはどうして?

口臭や体臭… 寝起きがキツイのはどうして?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 日本人はにおいにとても敏感、過剰反応などという論調も見られる昨今… そうは言っても、自分の臭いや家族の体臭、口臭は誰しも少なか...

2018/11/25 18:30掲載

「アルコール依存症」の基礎知識。 診断基準と段階的な治療

「アルコール依存症」の基礎知識。 診断基準と段階的な治療

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「依存」という言葉は“何かに寄りかかる”という意味です。 お互いに依存し合う「もたれあい」は適度であれば美徳と捉えることもでき、協力や...

2018/10/05 18:30掲載

風が吹いただけでも痛い「痛風」 今から予防できること

風が吹いただけでも痛い「痛風」 今から予防できること

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 突然足の親指の付け根などの関節が赤く腫れ、激しい痛みに襲われるのが「痛風」の特徴です。 これは発作的に起こる症状で「痛風発作」ともいい...

2018/06/01 18:30掲載

いつもと違う二日酔いはメタノールが原因? 原因別に対策を

いつもと違う二日酔いはメタノールが原因? 原因別に対策を

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 楽しいお酒の席…しかし、飲み過ぎにつきものの「二日酔い」になるとやっかいです。 飲み過ぎが原因になると知りつつ、ついつい深酒をして辛い...

2018/02/04 18:30掲載