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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」という原因不明の難病をご存知でしょうか。
「ALSアイスバケツチャレンジ」という運動により、一般の方々の関心も高まりましたから、聞いたことがあるという方も多いかもしれません。
また、2017年10月26日、フランス文学者でクイズ番組の解答者としても人気を博した、「篠沢教授」でお馴染みの篠沢秀夫さんがこの病で亡くなられたことは、記憶に新しいと思います。
それではALSとは、具体的にはどのような病気なのでしょうか。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)について
ALS(筋萎縮性側索硬化症:amyotrophic lateral sclerosis)は、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える、運動神経細胞が侵される病気です。
自分の思い通りに身体を動かす時に必要な筋肉は「随意筋」と呼ばれています。
この随意筋を支配する神経が「運動神経細胞:運動ニューロン」です。
運動ニューロンは、歩く・モノを持ち上げる・飲み込むなどさまざまな動作をするときに、脳の指令を筋肉に伝える役目を担っています。
その運動ニューロンが侵されると、筋肉を動かそうとする信号が伝わらず、徐々に筋肉が動かしにくくなったりやせ細ったりしてきます。
そして、やがては動かなくなるのです。
ALSでは、五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)を司る知覚神経や、コントロールできない内臓など不随意筋を支配している自律神経は原則として侵されませんので、感じることはできますし、また、心臓など内臓の働きにも影響はありません。
しかし、例えば、痛いと感じても手を引っ込めることができなくなります。
さらに呼吸は、自律神経と随意筋である呼吸筋の共同作業であるため、ALSになると呼吸筋が次第に弱り、呼吸困難に陥っていきます。
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