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ALSの症状
運動ニューロンは脊髄にあり、手・足・舌・のど・呼吸を司る全身の随意筋を支配しています。
ALSになると、どの運動ニューロンが侵されたかによって、最初に現れる症状も違ってきます。
おもに、次の2つの症状が挙げられます。
手や指、足の筋肉が弱り、やせ細る(四肢型)
ALS患者の約4分の3は、手足の動きに異常を感じて受診をするそうです。
箸がもちにくい、重いものが持てない、手足が上がらない、走りにくい、疲れやすい、手足の腫れ、筋肉の痛みやツッパリなどが、自覚症状として現れます。
手足のまひによる運動障害の初期症状といわれます。
このような症状と同時に、手足の筋肉がやせ細ってきます。
話しにくくなる、飲み込みにくくなる(球麻痺型)
舌やのどの筋肉が弱くなることを「球麻痺(きゅうまひ)」といいます。
ALS患者の4人に1人が、最初に球麻痺の症状を示すといわれています。
これが高じると、舌の動きが思い通りにできなくなり、コミュニケーション障害が起こります。
また、食べ物やつばが飲み込みにくくなる「嚥下障害(えんげしょうがい)」が起こり、むせることも多くなります。
こうした初期症状が進行していくと、手足のまひによる運動障害、コミュニケーション障害、嚥下障害、呼吸障害という、ALSの4つの症状全てが現れるようになります。
ALSの疫学と原因
ALSは運動神経系が老化していく病気ともいわれます。
症状が現れるのは50~70代前半の年齢層に多いとされ、患者数は60代後半でもっとも多くなっています。
男女比は、およそ1.5:1の割合で男性に多く発症するといわれています。
日本の患者数はおよそ1万人と推定されており、職業や生活環境には無関係で、遺伝による影響も5%未満とされています。
また、喫煙が発病のリスクを高める、ということがわかっています。
現時点では原因は特定されていませんが、いくつか挙がっている仮説の中から、おもな説をご紹介します。
グルタミン酸過剰説:神経伝達物質の興奮性アミノ酸「グルタミン酸」を取り込む機能が障害され、神経細胞外のグルタミン酸が過剰になって、神経細胞が死滅するという説
環境説:環境のある何かが原因なのではないかとする説
神経栄養因子欠乏説:神経を成長させたり、細胞を修復・回復させたりするのに必要な栄養分が欠乏することで、運動ニューロンが壊されるという説
家族説/遺伝説:およそ90~95%は遺伝と関係なく発現するとされているものの、活性酸素を解毒する酵素をつくる遺伝子の突然変異によって、運動ニューロンが死滅するのではという説
このように、ALSにはさまざまな原因説があり、突然発症し短期間で進行する深刻な難病なのです。
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