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血栓症について
本来、血栓は止血をするためにできるのですが、血栓が血管を詰まらせると、さまざまな病気を引き起こします。
このような疾患の総称を「血栓症あるいは血栓塞栓症」といい、以下のようなものが挙げられます。
塞栓(そくせん)症
おもに動脈で起こる血栓症です。
血管が老化して動脈硬化が進むと、血管壁にコレステロールなどが溜まって血管が糊状になり、内部が狭くなって内皮がはがれ落ち、血管が傷ついたような状態になります。
そうすると、血栓ができて大きくなり、血管が詰まってしまう状態が「塞栓症」です。
エコノミークラス症候群
おもに静脈で起こる血栓症です。
静脈は、動脈よりも血流が遅く血圧も低いため、血液が滞りやすくなります。
いわゆる「血のめぐりが悪い」のです。
そんな状態のときに血栓ができ血流に乗って移動し、肺動脈に引っかかって肺塞栓を発症するのが「エコノミークラス症候群」です。
長時間飛行機に座ったままの状態が続くようなときの症例が多いため、この名がつきました。
その他の病気
心臓に栄養を与えている冠動脈が詰まる「心筋梗塞」、頭の中の脳動脈が詰まる「脳梗塞」、心房細動で心臓に血栓ができて脳血管が詰まる「脳塞栓症」、足からの血液を心臓に戻す深部静脈を血栓が詰まらせる「深部静脈血栓症」などがあります。
このように、動脈硬化や血液の流れが悪くなる「血流のうっ滞(=滞り)」が血栓症の原因になります。
そして、血栓症から生命にかかわる重大な病気も発症します。
血栓症の治療薬
血栓症の治療や予防には、血小板や凝固因子が働くのを抑制する薬を服用します。
いわゆる、血液をサラサラにする薬で、「抗血小板薬」と「抗凝固薬」と呼ばれています。
動脈ではおもに血小板による血栓ができやすく、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞といった病気には、抗血小板薬が多く用いられます。
また、静脈では血液のうっ滞による血栓ができやすく、心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓(エコノミークラス症候群)などには、抗凝固薬が用いられます。
ただし一様ではなく、血栓は血小板と凝固因子に複雑に反応してできるので、専門医がケース・バイ・ケースで薬を使い分けて処方します。
また、本来の止血という働きでできる血栓を抑えるわけですから、こうした薬によって出血しやすくなったり、止血しにくくなったりする副作用も指摘されています。
主治医の指導に従って服用することが重要です。
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