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健康診断で病気を発見できるか?
わが国で患者数が最も多い病気は「がん」です。
次いで、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの「生活習慣病」があります。
前述の定期健診で、これらの病気を発見することはできるのでしょうか。
がん
患者数の多い「胃がん・大腸がん・肺がん」などは、健診で発見できる可能性がある「がん」 です。
「胃バリウム検査」により、胃・十二指腸ポリープ・がんなどを発見することができます。
この検査は胃の全体を捉えるというのが特長で、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)に比べると早期の胃がんは発見しにくいです。
胃カメラとの併用により、胃全体の状態と、胃粘膜の細かな状態がわかります。
また、「便潜血検査」は、便に血液が混ざっていないかを調べる検査です。
結果が陽性(+)の場合、胃腸など消化管で出血する病気や大腸ポリープ・大腸がんなどが疑われますので、さらに上部・下部消化管内視鏡検査などの詳しい検査をします。
胸部レントゲンでは、肺がんや肺結核などの可能性を含んで、肺の状態を検査します。
検査結果に異常な陰影がみられたら、胸部CT検査などさらに詳しい検査をします。
生活習慣病
【身長・体重・腹囲測定】
現在の体型がわかります。
ここで、過去の結果と比較して体重が増加していれば、体重が増えた理由を探ることが重要です。
とくに、腹囲も増えていると「内臓脂肪」増加の可能性があります。
内臓脂肪は血圧や血糖・血中脂質に悪影響を与え、生活習慣病の原因になります。
お腹周りが肥えてきたときは要注意です。
【血液検査でみる肝機能】
「AST(GOT)」や「ALT(GPT)」が上昇傾向であると、肝臓にも脂肪が蓄積されている可能性があり、生活習慣の見直しが必要です。
なかでも「γ-GTP」が高い人は、原因としてお酒の飲み過ぎが考えられますから、「節酒」を心がけましょう。
【血圧や血中脂質・血糖値】
数値によっては動脈硬化を進める要因となります。
結果が悪いときは、速やかに医師の診断を受けるなり、もしくは予防のために生活習慣の改善をはじめましょう。
【血糖値や尿糖】
検査結果が悪化傾向の場合、放置すると糖尿病やその合併症のリスクを高めます。
早めに産業医や専門医に相談してください。
【心電図検査】
35歳以上が対象であることの多い検査ですが、おもに心臓の機能の状態がわかります。
心臓の筋肉(心筋)の壊死が疑われると、心筋梗塞が起こっている可能性がでてきます。
また、心筋の血流不良が認められると狭心症の疑いがでてきます。
いずれも、結果になんらかの異常があったときは、早めに循環器専門医の診断を受けてください。
オプション検査はどう活用すべきか?
定期健診のオプションや人間ドックでも、「がん」や「生活習慣病」の発見に役立つ検査があります。
国内で患者数が多い病気ランキング第1位の「がん」。
発症部位別にみると、男性は「胃・肺・大腸」、女性は「乳房・大腸・胃」の順です。
これらのがんは一般的な健診で発見可能なものと、それだけでは不十分なものがあります。
定期健診における胃の検査で代表的なのは胃バリウム検査です。
この検査は胃全体の形や動きをみるのに適しています。
しかし、粘膜にできた早期のがんを発見するには、胃カメラのほうが有効です。
よって、胃がんの早期発見には、どちらか片方の検査を受け続けるよりは、両者を組み合わせるとよいでしょう。
そして、乳がんや子宮がんなど女性特有の「がん」ですが、こちらは職場の定期健診だけでは発見しづらい病気です。
オプションで乳がん検診や子宮がん検診を加えて受診することをおすすめします。
とくに乳がんは、近年女性の社会進出が増えている時代背景もあり、患者が急増しています。
40歳を過ぎたら最低でも2年に1回、乳がん検診を受診しましょう。
このように、定期的な健康診断の受診は、現在の健康状態や過去と比較した変化を知るうえでとても大切な機会です。
さらに、早い段階で病気が見つかる可能性も高くなります。
年齢を重ねるごとに「がん」や「生活習慣病」になるリスクが高まることを考慮し、一般的な健康診断だけではなくオプション検査や人間ドックも取り入れるとより安心です。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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