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孤独が(社会的)孤立になる!:孤独病の原因
中国語の「孤」「独」はどちらも「単独:一人」という意味です(親のない子を「孤」、子のない老人を「独」という意味もあります)。
英語の alone lonesome も「一人」という意味を表わします。
その点、日本語の「孤独感」には「寂しい、淋しい」といった心情もこめられています。
そして、古くからの地縁・血縁社会では「寂しい、淋しい」はネガティブな心情で、コミュニティに馴染む「和気あいあい」を良しとしてきました。
そんな伝統が崩れて無縁社会が到来し、いま人々は「寂しくてたまらない」のです。
「孤独」のもともとの意味は「自分は一人」です。
それを「かけがえのない個性」と思えれば、孤独は「もっとも自分らしい」状態ともいえます。
しかし、実際に「自分らしさ」に憧れる人たちが孤独になると「こんなはずではなかった」と感じます。
「和気あいあい」のような「居心地のよさ」は存在しないからです。
それでは、失われた絆を取り戻そうと方向転換をするかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ「おひとりさま」「一人暮らし」「引きこもり」に甘んじている様子も多々見受けられます。
やはり、血縁・地縁はどこか煩わしい…というイメージが根ざしているようです。
筆者には、「孤独」は「かけがえのない個性」を育むというより、社会的孤立を助長しているように思えるのですが、皆さんはいかがでしょうか?
孤独というストレスは万病のもと
病気という以上は、生理学・医学的根拠が必要です。
「孤独病」が医学的病気であることは片田医師も明言していません。
しかしながら、ストレスが健康にさまざまな影響をもたらすことは広く知られるところです。
自律神経や内分泌、免疫システムや脳の機能遂行に悪影響を与え、全身的な不調、場合によっては疾患をもたらすことがあります。
また、ストレスは、病気に罹りやすく治りにくいという要因になることも知られています。
日本では、イギリスのような「孤独」への具体的な対応策はまだありません。
「孤独」が健康を蝕む…としたら、誰しも孤独であることは不安になるでしょう。
そろそろこの現状に目を向け、みんなで考えなければならない時が来ているのではないでしょうか。
【参考】片田珠美『孤独病』(PHP新書 2015年)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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