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完治が難しい「三大合併症」
糖尿病の三大合併症とは、「糖尿病性神経障害」「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」のことを指します。
それぞれどのような病気か見ていきましょう。
糖尿病性神経障害
手足のしびれ、ほてりや痛みなどの症状が現れます。
また、足にケガをしても痛みを感じないほど感覚がマヒするといった現象も起こります。
これは神経が侵されているからです。
さらに、自律神経にも支障をきたすと、胃腸の不調、排尿障害、勃起不全などが起こる場合もあります。
神経障害は三大合併症のなかで最も早く現れる症状とも言われ、糖尿病歴10年の患者のおよそ7割にこの症状が見られます。
糖尿病性網膜症
目の奥にある網膜の毛細血管が壊れて眼底出血が起こります。
軽度であれば目のかすみや視力の低下、進行すると失明に至ることもあります。
全失明患者の半数は糖尿病性網膜症とみなされ、糖尿病暦20年以上になると、およそ8割が網膜症を発症すると言われています。
若いときに糖尿病になった人ほど網膜症は重症化しやすくなります。
定期的に眼底検査を受けるなど早期発見に努めていれば進行を抑えられるのですが、糖尿病自体の自覚症状が少ないため、大出血や網膜剥離を起こして失明に至るケースが多くなっています。
糖尿病性腎症
高血糖状態が続いて腎臓の機能が低下し、血液をろ過して尿を作る働きが悪くなります。
初期のころは、高血圧・たんぱく尿・むくみなどの症状が現れ、症状が進行すると血液中に老廃物が溜まり腎臓が機能しなくなる尿毒症や腎不全といった重い症状を引き起こす可能性もあります。
時間をかけて慢性的に経過する腎臓病は「慢性腎臓病:CKD」と呼ばれています。
重症化すると透析治療や腎臓移植が必要になります。
新たに透析を始める患者のうち、およそ半数(第1位)は糖尿病性腎症が原因だと言われています。
進行すると手足の切断を余儀なくされる「糖尿病性神経障害」、失明の可能性がある「糖尿病性網膜症」、人工透析を一生続けなければならない「糖尿病性腎症」。
三大合併症はどれも生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)を下げ、場合によっては死に至ることもある怖い病気と言えるでしょう。
予防のポイント:血糖のコントロール
糖尿病は自覚症状が現れにくい病気です。
それゆえに、食べ過ぎや運動不足、薬の服用を守らないなど、血糖値を上げてしまう状態に陥りやすいと言えます。
しかし、自覚症状がないことに油断して血糖コントロールを疎かにしていると、10年前後で神経障害が現れ、次いで、網膜障害、腎障害に至ってしまいます。
食事療法、運動療法、薬物療法によって適切な血糖コントロールを続ければ、病気の進行を抑え、周囲の人とほとんど変わらない生活を送ることも可能です。
そのためには、できるだけ早い段階で糖尿病を発見し、血糖コントロールを始めることです。
その上で、食事、運動、薬の服用など、医師の指示をきちんと守り継続的に治療を行う必要があります。
とくに食事療法などの習慣化はとても大事な要素と言えます。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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