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AYA世代のがんはめずらしい?
がんを発症しやすい年代というと、一般的にイメージするのは中高年から高齢者だと思います。
事実、がんと診断される罹患率(りかんりつ)や、がんによる死亡率が最も少ない年代はAYA世代です。
とはいえ、AYA世代のがんの発症が滅多にない…というわけではありません。
国立がん研究センターの調査によると、2009年~2011年のがん罹患率をもとに、1年間でがんと診断された数の推計は、0~14歳の小児で約2,100例、15~19歳で約900例、20歳代で約4,200例、30歳代で約16,300例と報告されています。
しかし、2014年に新たに診断されたがん患者は全体で867,408例でしたから、総数と比較する限りAYA世代のがんは希少といえるでしょう。
小児と成人の境目にあたるAYA世代のがんは、治療が困難になりやすいという側面を持っています。
その理由の一つは、小児がんと成人がん、両方のがんが発症し得ることです。
また、さまざまな種類のがんが存在する一方、症例が少ない若年がんは治療法の開発が遅れているという事情も伴います。
さらに、若いからと本人が身体の不調を見過ごしやすいうえ、病院でも小児科とがんを診療する専門科との連携が不十分で治療が遅れる、といった点も挙げられます。
AYA世代のがんの特徴
AYA世代に発症するがんには、どのような特徴があるのでしょうか。
ひとくくりにAYA世代といっても、年代ごとに発症しやすいがんの種類は異なります。
15〜19歳では、0〜14歳の小児と同じく第1位が白血病で、以降、脳腫瘍、リンパ腫、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍と続きます。
20〜29歳では、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍や甲状腺がんが多く、30〜39歳になると乳がんや子宮頸がんが急増します。
20〜30代は女性特有のがんの発症が増加することから、女性の罹患率が高くなる、という性別の差もみられます。
こうした傾向は統計データ(最新がん統計)でも示されていますが、医療機関ごとにみると、AYA世代のがん患者がきわめて少ない施設も見受けられます。
AYA世代のがん治療に注力している病院がある一方で、地方などでは専門医が不足しています。
本来必要に応じて小児科も関わることが望ましい15〜19歳の若年がんの診療を、経験の少ない成人診療科が担うケースが多いという現状もうかがえます。
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