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鈍感と過敏:感受性の問題
においを巡る人間関係を考えるとき、当事者の嗅覚の鈍感さ・過敏さ、つまり「感覚の感受性」への考慮が必要でしょう。
例として次のようなパターンが考えられます。
<臭いを発する側が鈍感>
自分でも多少臭いと意識はしているものの、周囲がどう感じようと構わない
<臭いを発する側が過敏>
常に自分のにおいを気にして、デオドラントを吹きかけ何度も着替えるなど過剰な対策を講じる。または、周りの反応を恐れるがあまり引きこもってしまう
<臭いを感じる側が鈍感>
臭いを発している人に関心がなく、気にも留めておらず、注意などする気はない
<臭いを感じる側が過敏>
イライラして防臭剤を使用する、他の人が気にならない程度でも臭いと訴えて問題視するなど、「潔癖さ」が全面にでる
相手に伝える良い方法は?
このように、においを発する側と受け取る側の間に、度を越した鈍感さや過敏さが存在するケースでは、指摘する以前にその極端な感覚傾向の是正が必要かもしれません。
しかし、双方が常識的な感受性を持っていて、なおかつ多数の人が気になっているのであれば、基本的には本人に「言う」必要がでてくるでしょう。
ただし、においの感じ方には個人差がありますので、一人だけが感じているのか、多くの人が共通して不快と感じているのか、事前に確認します。
指摘された本人にとっても、無意識に与えていた周囲への影響を知ることで人間関係が改善されるかもしれません。
伝える際は、次のような点に配慮するとよいでしょう。
示唆的に伝える
直接的な言い方をすると、本人は「責められている」と強く感じてしまいますので、間接的かつ示唆的な言い回しを心がけましょう。
その配慮によって、よかれと思って注意をしてくれている…と本人も受け入れやすくなります。
第三者から伝えてもらう
前述の間接的・示唆的な言い方で伝わらない(本人がピンとこない)場合は、本人の上司や、人事部などの管理部門から個別に注意をしてもらうようにしましょう。
衆人のなかで注意すると「辱められた」と受け取られ傷つけてしまう可能性があります。
指摘した人のプライバシーを守る
第三者から本人に伝える際は、不快だと訴えた人が本人からパワハラを受けるなどの被害に発展しないよう十分に配慮してください。
その可能性が少しでもあるときは、個人が特定されない対策をして、プライバシーを厳守しなければなりません。
普段から何でも言い合える柔軟なコミュニケーションが図られていれば、臭いや不快に感じている点などを率直に伝えても大丈夫だと思います。
そのような人間関係の構築は、こうした問題には極めて重要です。
しかしながら、現在の関係性では直接的な伝え方が難しい場合は、相手との距離感や事後の見通しにも配慮して、前述した対処法のいずれかを試してみてください。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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