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災害時の備蓄も液体ミルクがあれば万全?
ここで、災害時に衛生的な水や熱源を確保できない状況を想定してみましょう。
母乳の代わりにミルクを必要とする赤ちゃんには、安全で十分な栄養を得られるようにミルクの備蓄が必要と考えられています。
しかしながら、単純に物質的な防災対策を推進するより前に整備すべきポイントがあります。
たとえば、災害時には母乳が出なくなるという不安や誤解について正しい理解を促すこと、また、安心して授乳できる場所を十分に確保することなどです。
災害時に本来ミルクを必要としない赤ちゃんにまでミルクを取り置けば、全体の備蓄が不足してしまいます。
さらに、母乳を与える機会が減ると分泌も自然と減り、ますますミルクの需要が高まり不足する…といった悪循環に陥りかねません。
ですから、赤ちゃんとお母さんの健康を考えると、平常時も災害時も、母乳育児を必要とする期間はできるだけ継続できるよう、母と子への支援と周囲からの理解が重要なのです。
「液体ミルク」専門家からの注意喚起!
日本小児科学会や日本栄養士会などが、液体ミルクの使用についての注意点を次のようにまとめています。
期限を確認して飲ませること
容器に破損がないことを確認してから飲ませること
未開封時は常温で保管して高温になるような場所に置かないこと
開封したらすぐに飲ませること
飲み残したものは使わないこと
各製品に書いてある使い方の説明書きをよく読むこと
このように、液体ミルクはあくまでも母乳の代替品です。
災害時に赤ちゃんの栄養に困らないためにも、また、普段の母と子の健康のためにも、まず優先されるのは「母乳」という大前提を忘れてはいけません。
とはいえ、海外では既に普及している液体ミルクの解禁を待ち望んでいた人もいるでしょう。
ミルクが必要不可欠な場面での選択肢が増える、これはとても喜ばしいことです。
液体ミルクを取り入れる際は、粉ミルクとの違い、メリットやデメリット、正しい使い方をよく理解して、母と子にとってより良い選択となるよう活用していただくことを願います。
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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