(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
執筆:斉藤 雅幸(Mocosuku編集部)
職員に対してマタニティーハラスメント(マタハラ)を行ったとして、厚生労働省は2015年9月4日、この事業主の公表に踏み切りました。
厚生労働省のHPには、妊娠を理由に女性職員を解雇した茨城県牛久市の皮膚科医院の事業所名、代表者名、所在地が公表されています。今回の公表には、繰り返し是正を求めたにもかかわらず従わなかった事業主に社会的制裁を与えるとともに、同様のマタハラ事例の抑止につなげる狙いがあります。
ここでは、マタハラに該当する不当な扱いを確認し、どのような場合に実名公表に至るのか、そのプロセスを見てみましょう。
マタハラに該当する事柄とは
妊娠・出産・産休・育休などを理由とする解雇などの不当な取り扱いは、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法で禁止されています。
次に挙げる例はすべて「マタハラに該当する事柄」です。
1.解雇すること。
2.期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3.あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4.退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5.降格させること。
6.就業環境を害すること。
7.不利益な自宅待機を命ずること。
8.減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
9.昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
10.不利益な配置の変更を行うこと。
11.派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。
問題の医院においては、正職員の20代看護助手が妊娠の報告をした約2週間後に退職を迫られたといいます。
報道によれば、「妊婦はいらない」との発言もあったそうです。本件は妊娠を理由とする解雇であり、明らかにマタハラに該当します。
スポンサーリンク