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執筆者:井上愛子(保健師)
監修医:坂本忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)
「禁煙したらご飯を美味しく食べられるようになった!」
そんな言葉をよく耳にしますが、タバコを吸うか、吸わないかと、ご飯を美味しいと感じるか否かには、大きな関係があります。それは、タバコに含まれるニコチンに、食欲を抑える作用があるためです。
それではタバコを吸うことで起こる味覚や食欲の変化について、見ていきましょう。
タバコは食事にどう影響するの?
1.消化管の働きが低下し、胃の不快感を生じやすくなる
タバコを吸う人には、胸やけする人が多いと言われています。
それは、ニコチンに血管を収縮させる作用があるためです。タバコを吸うと、胃・十二指腸をはじめとする消化管の血管が縮まり、血流や消化管の動きの悪さにつながります。
また、食道・胃・十二指腸をそれぞれつなぐ括約筋が緩みます。
私たちは食べ物を食べると、それぞれの括約筋が緩むことで食べ物を食道→胃→十二指腸へと送り、締めることで送り込んだ食べ物や胃液・十二指腸液の逆流を防いでいます。
タバコを吸うと、これらの括約筋が緩みやすくなり、消化液の逆流を招きやすくなります。
これらのことが、タバコを吸うと胃もたれ、吐き気などにつながるのです。
2.血糖値を上げ、空腹感が起こりにくくなる
私たちは「お腹が減った、お腹がいっぱいになった」というシグナルを、どこから受け取るのでしょうか。
その一つには、血糖値の変動が関わっています。私たちは食べ物を食べると、血糖値が上がって「満腹になった」と感じます。そして消化・代謝されると、血糖値が下がって「お腹が減った」と感じます。
ニコチンには血糖値を上げる働きがあります。
その働きが、空腹感を感じにくくさせるのです。
3.味・臭いの感覚を鈍くする
タバコに含まれるタールは独特の臭いを発します。
タバコを吸うと、臭いの原因物質であるタールが鼻の粘膜に付着し、食べ物本来の臭いを感じにくくなります。
また、舌には、「味蕾(みらい)」という味を感じる粒状の感覚器官があります。「味蕾」は喫煙によりタールが付着すると、その機能が衰えます。さらに、ニコチンには味覚・嗅覚などの知覚を鈍くさせる作用もあるのです。
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