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執筆:荒内 智美(弁護士)
Amazonマーケットプレイスに「お坊さん便」という商品の出品があるのをご存知でしょうか。
「お坊さん便」は、法要等に僧侶を手配してくれるというもので、料金は一律定額とされています。(なお、「お坊さん便」を出品する会社以外にも僧侶手配サービスを行っている業者はあります。)
先日、この「お坊さん便」の販売中止を求めて、公益財団法人全日本仏教会がアマゾンジャパンに「販売中止のお願い」と題した書面を提出しました。これを受けて、同法人が文書を提出した目的、宗教法人の税制上の優遇措置、当該サービスの是非、日本人の宗教観などインターネット上では様々な観点からの議論がなされているところです。
今回は、その議論の前提ともなりえる宗教法人の課税制度とサービスの「定額」性との関係について、法的な側面からお話をしたいと思います。
宗教法人は税金を納めない?
営利を目的とする株式会社等の場合は、全ての所得に対して法人税が課されます。
しかし宗教法人の場合は、「収益事業から生じた所得のみ」が課税対象とされています。
「収益事業」とは法人税法に列挙される事業で、継続して事業場を設けて行われるものを言い、販売業・製造業・請負業といった30以上の事業が挙げられています(法人税法2条13号、法人税法施行令5条1項)。
しかし、形式的に上記のような各種業務に該当したからといって、ただちに課税対象となる「収益事業」に該当する訳ではありません。
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