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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
血管の外の組織にあり免疫の働きを担当する白血球の一種「組織球」。
この組織球の一つ「ランゲルハンス細胞」に異常をきたす病気が「ランゲルハンス細胞組織球症:LCH 」です。
非常にまれな病気で、さまざまな症状が全身の臓器に起こります。
子どもが多くかかる病気です。
LCHってどんな病気?
ランゲルハンス細胞が関与している病気をまとめてLCH(Langerhans cell histiocytosis)と呼んでいますが、病気の部位が一つの「単一臓器型」と、二つ以上の臓器にわたる「多臓器型」があります。
子どもの単一臓器型の場合、多くは「骨病変」がおもな症状です。
最も多くみられる頭の骨の場合、こぶのように腫れてプヨプヨしたり、中心部がへこんでクレーター状態になったりします。
専門医はレントゲンで撮ったその部分の骨が丸く大きく欠損しているので、「骨が溶けている、穴があいている」と表現するそうです。
また、あばら骨や腰骨、背骨、あごや手足の骨などにも症状が出ます。
骨病変がほとんどですが、まれに皮膚やリンパ節に病変がみられることもあります。
これに対して多臓器型の場合、皮膚の症状と骨病変の頻度が高いのですが、そのほかに、肝臓、脾臓、肺、胸腺、骨髄といった諸々の臓器に病変が生じます。
たとえば、皮膚病変では頭や脇、股などに脂漏性湿疹が出たり、体幹に汗疹(あせも)のような湿疹や出血斑のような小丘疹(局限性の発疹)などがみられたり、肝・脾臓病変では肝臓や脾臓が腫れて働きが悪くなったりします。
全身のあちらこちらに色々な症状が出るといえます。
さらに深刻な問題として、中枢神経に関連した病変があります。
脳腫瘍のような病変を作ること、視床下部下垂体に浸潤して尿量の調整がきかなくなる「尿崩症(にょうほうしょう)」などを発症すること、成長ホルモン分泌障害による「低身長」や性腺ホルモン分泌不全による「無月経」などの症状も起こります。
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