(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
断酒と離脱症状 までの道のり:日本は「飲酒への誘惑」だらけ?
もうひとつ、断酒を決意したSさんを悩ませたのが、いたるところで現れてくる「飲酒」への誘惑です。これまで、Sさんの人づきあいには、必ずといっていいほど「お酒」がセットになっていたため、Sさんの事情を知らない友人や知人からは「飲みに行こう」という誘いが以前と変わらずやってきました。まず、これを断りつづけるのが、Sさんにとっては一苦労でした。「相手に自分がどう思われているか」ということをとても気にする性質のSさんは、飲みの誘いを断ることで「つきあいの悪いやつ」と思われないか心配だったのです。
また、そうした誘いを断っても、テレビを観ていて酒類のCMや「お酒を飲むシーン」が出てくるだけで、そのたびにSさんは「飲みたい」という誘惑と闘わなければなりませんでした。さらに、家の外に出ると、街のいたるところにあるビールの自販機や、コンビニの「お酒コーナー」がSさんを待ち構えているのです。
このように、アルコール依存の傾向のある人にとっては、日本はどちらを向いても「飲酒への誘惑」に溢れている国といえるかもしれません。そして、これらの誘惑を乗り越えなければ、Sさんが断酒をすることは不可能なのでした。
(次回に続く)
※本文は実話をもとに脚色を交えて構成しています。実在の人物・団体とはいっさい関係がありません。
<執筆者プロフィール>
井澤佑治(いざわ・ゆうじ)コラムニスト
舞踏家/ダンサーとしての国内外での活動を経て、健康法・身体技法の研究、高齢者への体操指導、さまざまな障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などに携わる。
スポンサーリンク