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発達障害者の周囲が経験する苦悩:カサンドラ症候群(カサンドラ情動剥奪障害)
発達障害を抱える本人も「生き辛さ」を経験していますが、周囲の家族もまた苦悩を抱えています。
とくに、男性に該当者が多いので妻が経験する場合が多くありますが、夫と気持ちの交流ができず、不満があっても自分が悪いと思ってしまい、孤独に陥り、偏頭痛、パニック障害、うつ病などを発症したり、世間には問題なく見える夫の不満を口にしても、他の人から信じてもらえなかったりする葛藤・ストレスにさらされます。
これを「カサンドラ状態」あるいは「カサンドラ症候群;カサンドラ情動剥奪障害」と呼びます。
カサンドラの由来はギリシア神話に登場するトロイの王女の名で、「人から信じてもらえない預言者」でした。
2003年に「カサンドラ情動障害」という名で公表されましたが、まだ正式な医学用語ではありません。
発達障害者とカサンドラ症候群:漫画を使って本人や経験者と語り合う
漫画『旦那(アキラ)さんはアスペルガー 奥(ツナ)さんはカサンドラ』(野波ツナ著、宮尾益知監修)を使ってご夫婦が障害について話し合ったり、ASDのパートナーをもった人たちの情報交換会が好評でした。
漫画のように視覚的な媒体を使って、現状を理解することが発達障害の人には理解しやすいこと、結果として、そこから役割分担や要望を明確にしていくことが関係改善に有益とのことでした。
逆に、インタビューを受けた人たちからの様子だと、発達障害者へのかかわり方を改善するのに、認知行動療法などは、あまりピンと来ていない印象が見受けられました。
<参考資料>
*1)『DSM-5;精神疾患の分類と診断の手引き』
●山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長
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