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発達障害について正しく理解しよう



最近、何かと話題になりがちな子どもの発達障害ですが、一口に発達障害といっても、 発達障害の種類 はいくつかあります。
何だかとてつもなくやっかいなもの、というイメージがありますが、実は偉大な業績を残した人々のなかには、発達障害である人が少なくありません。 そういった話も含めて、今日は「発達障害についての基本的なお話」をしたいと思います。

 発達障害の種類 :「発達障害」という名前はいくつかの障害の総称



「発達障害」は、実はひとつの病気のことを指しているわけではありません。国で定められている「発達障害者支援法」によると、発達障害の定義は以下のよう なものです。「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通 常低年齢において発現するもの」。
って、ちょっとわかりにくいですよね。ざっくりいうと、「比較的低い年齢に現れる、行動やコミュニケーションなどに関する障害をまとめて発達障害と呼んでいる」といえばわかりやすいでしょうか。

 発達障害の種類 :いろいろな障害を含む「広汎性発達障害」



発達障害のなかでも、さらにいくつかのものをまとめて「広汎性(こうはんせい)発達障害」と呼んでいます。よく耳にするアスペルガー症候群や自閉症はこの障害の一種です。 この病気が疑われる病状の一部には、一部ですが次のようなものがあります。

・視線が合わない
・指さしをしない
・遊び相手に興味を示さず、ひとり遊びにふけりやすい
・突然泣き出したり、笑い出したりする
・物の一部、ある行動、順序などに異常にこだわる
などなど

症状の程度はいろいろ。ごく軽く社会生活に支障がない状態から、残念ながら人によっては大人になってからもケアが必要な状態まであります。 ちなみに、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなど、「あの人はアスペルガー症候群だ」といわれている有名人はけっこういますが、その噂はほとんど実証のないものがほとんどです。
いっぽう、女優のダリル・ハンナや日本人作家の市川拓司さんは、広汎性発達障害であることをカミングアウトしています。

 発達障害の種類 :不注意の徴候が現れる「注意欠陥・多動性障害」



上にあげたような症状に対して、注意力や集中力が続かず、極端にそわそわして落ち着きがない場合は、「注意欠陥・多動性障害」と診断されることもあります。 代表的な症状としては、一例として次のようなものです。

【不注意の徴候】 ・物事に集中できない ・話しかけられても聞いていないように見える ・指示に従えず、いわれたことをやり遂げる事ができない ・外からの刺激で注意がそがれる

【多動の徴候】 ・座っていなければならないときに席を離れる ・よけに走り回ったり高いところに登ったりする ・じっとしていない ・手足をそわそわと動かす

【衝動性の徴候】 ・質問が終わるまえに答え始める ・順番を待てない ・他人を妨害する

などなど ここにあげたものがすべてではありませんが、4歳までにこのような症状が複数現れ、7歳を過ぎても改善されない場合は、専門家への相談が必要だともいわれています。

そのほかの 発達障害の種類



知的な発達の遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」などの能力のうち、特定のものだけができない障害のことを「学習障害」といいます。 3歳くらいに発見されることが多いようですが、軽い場合は小学校まで気づかれないこともあります。 また、脳の神経細胞が極度に興奮して意識がなくなる欠伸発作や、意識を失って全身が震える痙攣など、異常な行動を起こす発作を起こす病気は「てんかん」と呼ばれています。

人気俳優のトム・クルーズは、自身が学習障害であることを告白しています。脚本を読むことができなかった彼は、録音したセリフを繰り返し聞いて覚えたそう です。また、映画「マトリックス」や「ロード・オブ・ザ・リング」で有名な俳優、ヒューゴ・ウィーヴィングは13歳のときからてんかんと闘いながら仕事を 続けています。

(監修:日本神経学会専門医 ベスリクリニック院長 田中伸明先生)

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