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オピオイド鎮痛剤 : なぜ、モルヒネだけではだめなのか?
複数の オピオイド鎮痛剤 を用いるのには理由があります。
ひとつには、それぞれの薬による鎮痛効果は患者ごとに異なるため、より効果の得られる薬を選ぶため、という理由です。
もうひとつには、 同じ薬ばかりを使っていると耐性ができて鎮痛効果が低下するため、複数の薬をかわるがわる使うことでこれを回避する狙いがあります。これを、オピオイドローテーションといいます。
薬には副作用があります。副作用があまりにもひどい場合は、同じ薬を投与し続けることができません。でも患者は苦しんでいる。そんなときにオピオイドローテーションによって、ひとつの薬で生じた副作用を緩和しつつ、ほかの薬で鎮痛効果を得られる場合があります。
オピオイド鎮痛剤 : 海外と日本で扱いが異なる?
オピオイドローテーションは、 海外では既に1990年代から提唱されていたといいます。日本では、モルヒネ以外に鎮痛効果を期待できる オピオイド鎮痛剤 がなかったため普及が遅れていました。また、厳格に管理されている日本とは異なり、アメリカでは医師の処方が必要ではあるものの、比較的入手しやすいといいます。
オキシコドンを過剰摂取すると、ヘロインやモルヒネと同様の呼吸制御作用によって命を落とすことがあります。実際、アメリカではオキシコドンの過剰摂取による死亡事故が増え、社会問題になっているといいます。医師の間では安易に処方すべきでない薬として使用を抑制する動きもあるそうです。
今回の事件をきっかけに注目を集めたオキシコドンは、確かにアメリカと日本とで扱われ方の異なる薬ではありますが、「アメリカではあたりまえ」というわけではなく、警戒を要する薬には違いありません。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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