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表面移植法
京大研究グループが開発したのは、従来の、細胞を神経内に注入する方法ではなく、細胞を神経の表面に置く「表面移植法」という手法です。
ラットでの実験では、表面に移植された細胞が、瘢痕化された神経内に次々と入り込んで、瘢痕組織を利用しながら形を変えつつ長期間生き続け、ラットの聴神経の機能は45~55デシベルだったものが、3か月後には、35デシベルでも聞き取れるようになっていて、聴神経の機能が改善されたというものです。
顕微鏡による観察でも、移植された細胞が元の神経と連結していることが確認されました。
瘢痕組織は有害ではない!
この研究では、中枢神経内にできた瘢痕組織が、実は、神経再生に役に立つ性質を持っていたことを示しました。併せて、瘢痕組織を壊さず、そのままにしておくことが重要であることもわかりました。
従来から行われてきた「神経内移植法」では、注射針などで瘢痕組織が壊されてしまい、瘢痕組織が本来もっている有用性が失われてしまっていたことがわかりました。
つまり、「瘢痕組織は、神経再生にとって有害である」という従来からの定説を、根底から覆すものとなりました。
これまでの大脳や脊髄への細胞移植法に関しても、再考を促すことになるようです。
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